緑の調律日誌

山麓の冬は、夏の高山

2011/12/30

白馬五竜スキー場、雪の状態も、お客様の数も、冬スタッフの人数も、年末となり最高潮を迎えています!

アルプス平ゲレンデとは、夏に植物園となるゲレンデですが、

今日で降雪2メートルを超えました。

 

そんな中で、エスカルプラザ内にスキー場とは隔離された空間があります。

外はスキー場、しかしここは植物が数多く育つ不思議な空間。

冬の私の仕事である受付業務の指示や段取りを整えつつ、

この場所で積極的に冬の間も植物を育て続けます。

真ん中や奥に並ぶ大きい葉は、全て種から育てた青いケシの苗。

レストラン部門では、毎日のように発泡スチロールのゴミが出るので、

それを育苗箱代わりに利用しています。

水がこぼれず、断熱効果もあるはずで、良い感じです。

メコノプシス・インテグリフォリア。

「青いケシの仲間」で、黄色い花が咲きます。

黄色いケシですが、青いケシの「仲間」ということで。

メコノプシス・ナパレンシス。

こちらも青いケシの仲間ながら、青くはないようで。

背丈は2mくらいにもなるようですが、開花にも長い期間がかかるみたいです。

メコノプシス・ベトニキフォリア。

こちらは正統派「青い」ケシです。

4月に種を播いたものが、半年ちょっとでこれくらいまで育ちました。

これからもまだまだ成長させていきます。

来年には、咲くか・・・? 答えは育て続ければわかるもの。

冬の間も葉の成長が旺盛なのがわかります。

この場所の気温は、

晴れた日は最高25度程度、

雪の降った日はおよそ10度。

ある意味、高山の気温に近い気がします。

ふと、自販機の上を見ると。

場所と日光を、自販機の廃熱を、最大限に回収すべく、

こんなところにも置いています。

こちらは、芽生えたばかりの青いケシ。

10月の終わりに播いた種が芽生え、最初の移植の適期を迎えています。

こちらは青いケシではないですが、このような小部屋に分かれたトレーにピンセットで植えていきます。

青いケシ以外のものも育てています。

芽生える様子や成長の過程がとても面白いものです。

芽生えたら移植し、大きくなったら鉢を大きくし、時期をずらして播いたが新たに芽生え、

その繰り返しです。

季節を狂わせ、操ることを目指すこの場所では、春咲きのリンドウすら咲いています。

日当たりの良い場所、

窓ガラスに近い寒い場所、

自販機の熱で暖かい場所、

暖房を入れてみようかと思っている場所、

様々な条件を読み取りながら、季節と植物のコントロールをどこまで出来るか、

そんなことに挑戦しながら、冬のスキー場で植物を育てています。

ちなみにお客様が覗き込むと、まずカモシカの骨が見えます(笑

この方が、面白いよね。

外から見るとこんな感じです。

光がよく入るということは、外からもよく見えるということです。

スキー場に訪れつつ、覗いてみてください。

平日の日中には大抵ここで作業をしているはずです。

 

それにしても、冬のスキー場施設でここまでしている場所は無いのではないか!

そんなことをひそかに自慢にしながら、冬の仕事を楽しんでいます。

父親の棚から拝借した一眼レフの新しいレンズを使って、ちょっと違った質感の写真を多めに載せてみました。