緑の調律日誌

神奈川から見る植物2 残したいもの

2011/04/12

横浜市戸塚区の都市河川、柏尾川。

桜の名所としても親しまれていますが、バイクを停めた横には、こんな看板がついています。

ミズキンバイという植物がこの川では見られるのですが、稀少な植物として、絶滅危惧種にも指定されているものです。

開花期は真夏になります。

アカバナ科の植物で、マツヨイグサにも似た黄色い花を咲かせます。

撮影日:2005年9月14日

絶滅危惧種とは言っても、環境が合えば一面を覆うくらいの藪になったり、這った茎からどんどん根を出し増えていく生態からも、植物的には強い生命力を持つ植物です。

それが絶滅危惧種にも指定されるということは、

周囲の開発、河川改修といった、人為的な要因によるところが大きいわけです。

近年では、行政、大学等の連携により、積極的な保護活動が行われるようになっています。

気がつけば私の母校の小学校でも、教育の一環として保護活動が行われていました。

東戸塚小学校ホームページ http://www.edu.city.yokohama.jp/sch/es/higashitotsuka/mizukinbai.html

守るべき象徴、具体的な事例をもとに、自然全般への興味を持つきっかけになるのではと思っています。

写真と地図は横浜市の舞岡公園、その付近になります。

農地、里山の景観が残る向こうには一面の住宅地が広がります。

横浜市内には、自然公園が点在しています。

エリアを決めて、ここから先は開発はしない、貴重なものとして残す、市民の憩いの場とする、そういった活動が官民共に活発に行われています。

ただ、最近気になるのが、指定エリアの核心部分はラインに沿って残すものの、指定外の部分の開発が盛んになっているように感じられること。

線を引かれた自然公園エリアと、本当に人が生活している部分、その境界にこそ見られるものも多いものなのですが・・・。カブトムシやクワガタムシはその境界に多かったりします。

公園側から外を見ると高い壁が見えますが寂しいものです。

 

都市近郊には多くの人が生活し、いわゆる「自然」が減少しています。

しかし一方で、自然保護のため、ここは絶対に残す、そういった場所も多くあるのも事実です。

また、人口の絶対数が多いため、山や自然に親しみたい、関わりたいという方も多く、

維持管理のためのボランティア活動に参加したり、自然観察会を行ったり、様々な活動や交流が活発に行われています。

 

私が大学で植物を学び、長野県に住み植物園管理をしているのも、そういったバックグラウンドに寄るものです。

守るべき自然とは何か、人はどう在るべきか、

そんなことを考えながら、多くの人が親しめる植物園を作っていければと考えている次第です。