7月5、6日、(公社)日本植物園協会の研修で金沢まで行ってきました!
金沢駅と言えば、鼓門!
海外からのお客様も多く来られる、古都金沢。
金沢駅のインフォメーションも充実していました。
今回は植物園の研修なのですが・・・、
植物園にせよ、冬のスキー場にせよ、お客様をご案内する、という点ではあらゆるところに学びがあるのです。
今回訪れたのは、白山高山植物園。
金沢駅からクルマで約90分の場所にある、高山植物園です。
公式HPより、一部紹介いたします。
【白山高山植物園HP】http://hakusanmab.org/
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1998年(平成10)、石川県と福井県の県境に位置する石川県旧白峰村(現、石川県白山市白峰)において
「白山高山植物馴化(じゅんか)試験」が始まりました。
環境省は
「従来、特定の種に限定した保護増殖事業は行われてきた例があるが(レブンアツモリソウ等)、
白山山系といったような一つの生態系に属する全種を対象としたものは恐らく前例がなく、画期的である」
というコメントでこの事業を評価しています。
今後は、この先駆的な試みをさらに充実させ、
将来的には生物多様性保全の観点からも、白山に自生する種子植物全種(1321種)を栽培・育成し、
白山の植物を丸ごと保存するという壮大な計画を持っています。
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白山の高山植物たちを保存するために、公的事業として種子を採取し、栽培に取り組んでいるのです。
例え、白山の〇〇植物が絶滅したとしても、植物園が育てた植物(遺伝子資源)が残るわけですね。
まずは、植物を栽培しているエリアをご案内いただきました。
(トイレ立ち寄り場所になっていますが、栽培エリアは非公開です)
今回ご案内いただいたのは、NPO法人白山高山植物研究会理事の白井伸和さん。
栽培やフィールドでの実体験による熱のこもった解説は、漏らさず全て受け止めたい内容です!
屋外の圃場でも、あらゆる高山植物が育ちます。
今回の参加者は皆、植物園関係者。
皆様非常に熱心に白井さんの解説を聞いているところです!
こちらは、一般公開している白山高山植物園。
もともと何も無かったところが、どのようにして花畑になったか・・・
ぜひこちらの紹介ページをご覧いただきたいところです!
→ http://hakusanmab.org/shokubutuen.html
白井さんを先頭に、山をつづら折りにあるいて上がっていく植物園を見学しました。
パッと見て目立つのは、シモツケソウ(赤)とニッコウキスゲ(黄)。
ニッコウキスゲの花は、7月5日では見ごろ後半でした。
シモツケソウはこれからまだ増えそうです。
これらの植物が、全てタネから育てられ、野生のお花畑のようになっているのです!
それにしても、白井さんの博識なこと・・・。
あらゆることをお訊ねしても、きちんと答えていただけるところです!
高山植物園の最上部あたりは、特に標高の高い場所に生育する高山植物が整えられていました。
地面に這うハイマツなどの低木が、高山らしさを感じさせてくれます。
こちらは、金沢大学の薬草を研究されている皆様。
特に薬草に関係ある植物があると、熱心に観察されていました。
山の斜面を歩いて、降りてくる形の高山植物園。
晴れれば、白山が一望できるロケーションです。
今回は山は見えませんでしたが、素敵な植物園を楽しみつつ、その意義深さを知ることが出来ました。
ところで、「高山植物園」と名がついている、
・白山高山植物園
・六甲高山植物園
・白馬五竜高山植物園
この3つの植物園が、2019年春より姉妹園として提携しました。
高山植物を知ること、守ること、親しむこと。
それぞれの植物園の特色を活かして、更に進んでいきたいところです。
7月6日は、金沢大学で講義&薬用植物園見学でした。
まずは、石川県立自然史資料館、副館長の中野真理子博士による講義です。
セリ科の植物は、薬用植物としても有用なものが多いもので、
その最新の分類などがテーマでした。
金沢大学で薬学を研究されている、佐々木陽平准教授。
今回、幹事をして下さった先生でもあります。
この後の薬用植物園見学を控え、皆さんウズウズしているのですが、まずは座学をしてから植物園へ行くのです!
そして、いよいよ薬用植物園へ!
一般公開はしていないのですが、見学のあるイベントなどのタイミングでは訪れることが出来るそうです。
【金沢大学 医薬保健学域 薬学類・創薬科学類附属 薬用植物園 HP】(正式名が長いです)
http://www.p.kanazawa-u.ac.jp/~yakusou/index.html
気が付けば青空に太陽が出て、暑く感じる晴れの日。
薬用植物園、広いです!(金沢大学も敷地は広大です)
手前はシャクヤクの栽培エリア。
シャクヤクは花が咲いても綺麗ですが、薬草としての価値も高いのです。
こちらはロックガーデン。
特に乾燥地に育つ植物の見本園になっています。
岩の上も歩けるようになっているもので、あらゆる植物が育てられていました。
遠くでは、学生たちが作業をしていました。
薬学の研究とはいえ、まずはフィールドで植物そのものを知らねばならないようですね!
どのように栽培をしているか、その苦労は何か、先生の話を聞き、実際に目で見て、学ぶ非常に良い機会です。
特に薬用植物の関係者の方々は熱心に聞かれているのが感じ取れました。
「薬」というと、錠剤などが身近なものですが、当たり前のことながら、もとは全て植物から始まったものですね。
これらの圃場を見ると、改めてそれを感じることが出来ます。
白山高山植物園のてっぺんで植物を眺める佐々木先生。
今回は非常に良い学びの機会でした!
このような植物園同士の繋がりが、良い研究を、良い植物園を生み出しているのです!