2023年7月8、9日、「すげの会」第32回全国大会が、白馬五竜高山植物園で開催されました!
すげの・・・ではなく、「スゲ」という植物を研究する会です。
スゲって何?という方も多いかもしれませんが、写真のような植物です。
(シロウマスゲ・白馬岳にて撮影)
何となく見ているけれど、注目したことある方は少ないかもしれません。
目立つ花を咲かせるわけではなく、どれも似ていて、分類が困難と言われます。
困難だからこそ、勉強したい、調べたい、知りたい!
そんな方たちが集まられているようです!
初日は研究発表会。
遠方から来られる方もいる全国大会なので、午後からの開催です。
白馬五竜高山植物園で生息域外保全をしている「センジョウスゲ」を展示しました。
非常に稀少な植物で、植物園で一般公開には至っていない栽培中のものです。
探してもまず見られない・・・そんな植物なのです。
全国のスゲ研究者、愛好家の方でも初見の方が多く、大人気でした!
やっぱり自然光の方が良さそう・・・ということで、窓側に置いてみたりもします!
栽培中のセンジョウスゲの花。ちょっとアートな感じに撮影。
栽培中のセンジョウスゲの花のアップ。
栽培中のセンジョウスゲの果実。
深い山中の植物ですが、栽培しつつ手元に置くことで、その変化の撮影、記録が容易になるのです。
すげの会、会長の星野氏によるご挨拶。
会員数約300名の会です!
「すげの会」ホームページもどうぞ!
https://sugenokai-jp.chu.jp/about-sugenokai/16/
皆様が集まったところで、研究発表会です!
高橋氏による分類研究。
種を特定するのに細かい形や、DNA分析も併用するのです!
矢野氏による、スゲ属の絶滅危惧種の保全の話題でした!
高島氏による、タイの植物の写真や観察事例の紹介でした!
研究発表会が終わるガヤガヤする時間。
コロナ以来4年ぶりの全国大会だったようですが、情報交換、近況報告など、やっぱりこういう時間は大切ですね。
宿泊は、植物園そばの宿へ。
そして夕食のあと、さっそく「標本同定会」が始まります!
種の特定が困難なものを持ち込み、諸先輩方が分類のアドバイスをしてくださるようです。
会長の星野氏(左)、副会長の勝山氏(右)。熱心に意見されていました。
スゲを肴に、熱い意見交換が・・・!
全国トップクラスの、スゲの方たちが白馬に集まった夜でした!
2日目はフィールド観察会。
白馬五竜高山植物園、アルプス平自然遊歩道の自生植物の観察です。
ビジターセンターで開催中の牧野博士の展示ですが、
主にした解説は「一般の方に、植物標本というものを説明したりします」というくらい。
今回来られている方は、どうみても「一般の方」では無いので、色々と既にご存知です!
植物園の絶滅危惧種コーナーでの解説。
経緯や意義などを解説しつつ、スゲの話題では勝山氏にバトンタッチです!
最初は雨でしたが、カサも要らないくらいの天気に。
リフトに乗って、アルプス平自然遊歩道の蛇紋岩地帯に向かいます!
年齢にバラツキがある集まりですが、フィールドワークに慣れた方たちばかりなので、足取りは軽いです!
後ろのメンバーの足取りが遅い・・・と思ったら、さっそくスゲを観察されています。
博士といえど、ルーペを持ってじっくり見る必要がある。
それがスゲです・・・!
どんな植物が現れたか、記録していきます。
スゲの会が、このエリアに足を踏み入れたことは初めてなので、大切な記録です!
普段、案内することの無いようなリフトの終点部分。
今までと違った環境だと、また違う植物が出るものです。
ぬかるみの中、熱心に観察されていました。
見ているのは右の斜面の細長い垂れ下がったスゲです。
「一般の人」が止まることの無い場所で、みなさま足を止めるのです・・・!
植物園の植物は興味無いのかも・・・とも思いましたが、
そんなことは無く、満開のコマクサなど楽しんでいただきました!
白馬連峰高山植物生態園、白馬の自然を再現しています。
スゲも植栽していることは好評でしたが、もっと植えてもいいのかもしれません(笑)
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植物園としての栽培・展示としての生息域外保全。
白馬の標高1500mの気候は、寒冷地の植物栽培に適した場所です。
この気候を活かした植物の保全など、今後も進めていく方針です。
それらの活動が、植物園の意義を深めたり、
結果として「珍しい植物が見られる!」ということで、
植物園の発展、来園者増に繋がれば、と思っています。
今回は植物のスペシャリストの方たちに、白馬五竜高山植物園を知っていただく大変良い機会でした!
皆様、ありがとうございました!