緑の調律日誌

その他ひとり言

園内のひとびと

2011/08/14

たまには写真も無しにて。

 

土日は園内の広場にて、雑草の草取りをしたり、看板の立て直しをしたり、人の通るところに植物を植えたり、今後の植栽計画を考えたりしています。

人の集まる園内の広場でこういう作業をしつつ、道案内やカメラのシャッター押しや園内の解説などをするわけです。

 

草取りをしながら、目を、耳を、あちこちに傾けると色々なものが見えてきます。

園内でお客様がどのように楽しんでいるか、どうすると分かりやすくなるものか。

 

今日いちばん印象に残ったのは、とある親子のこと。

植物や山のことを小学校中学年くらいの息子に説明するお父さん。結構詳しい様子。

その子がシモツケソウを初め、色々な花の匂いを嗅いでいたこと!

小学生の男の子が花の匂いを積極的に嗅ぐとは・・・。

しかも薬品の匂いを嗅ぐように手で扇いで。化学とか好きなのだろうか。

「ボウズ。匂いがするのは花だけじゃあ、、ないんだぜ?」

・・・という趣旨の言葉を接客口調で話しかけ、イブキジャコウソウの葉の匂いを説明したところ、

「クサっ」

 

植物を覚えるのには五感を使うと印象に残るようです。

私も後輩には苦い草を何も言わずにかじらせたり良くやりました。

 

園内に来られる方々には、ひとりひとりに様々なドラマがあるようです。

コマクサの大群落 草津本白根山

2011/08/04

草津の本白根山のコマクサをご存知でしょうか?

コマクサの大群落があり、登山装備でなく1?2時間程度でコマクサに出会える場所であり、多くの方が訪れています。

コマクサの群生地は遠くから見るとこんな感じです。

このアングルから見ると、コマクサの群生地だけ緑が無いことに気がつきます。

本白根山の標高は2171m。

2000mを少し超えるくらいの標高にコマクサが生育するのも他の植物の生育を許さない斜面、礫地ということによるものでしょうか。

この山系には色が紅いものが多いと聞きます。

北アルプスでは薄いピンクのものが殆どですが、この周辺では写真のような色が多いものです。

本白根山のコマクサのひとつの特徴は、多くの方によって保護、増殖されてきたものだということ。

そのような歴史、背景、想い、それらを感じながら見ると感慨深いものです。

 

10代最後の夏の学生時代、ここでサブレンジャーとして活動していたことがあります。

時には50人超の団体を3人ほどでガイド、引率したこともあり、自分にとって自然解説、ガイド技術を学んだ場所でもあります。

 

白根のコマクサは「紅」というが、かつて絶滅寸前という自生状態ではどうだったのか、繁殖元の親が「紅」でそれらの系統が脈々と引き継がれているが故だろうか、隣山の立ち入り禁止区域に調査で入った際にわずかに見つけたのは薄ピンク色だったな、などと色々考えたりもします。

ガイドルート上の定番であったヒカリゴケの観察ポイントも健在でした。

何度も登った山では、かつての発見の再確認、更新、新しい発見など色々な楽しみ方があるものです。

慰霊碑のヘビ ヤマカガシ

2011/07/30

地蔵の頭、その奥の慰霊碑では決まってヘビをみかけます。

やっぱり不思議なのはなかなか逃げないこと。

いつもとはちょっと違った位置にいたりしました。

こちらに気づいているのか、いないのか。

ヤマカガシ、色がそれなりに鮮やかです。

よく見ると目が濁っています。

脱皮前のヘビは目が濁るもの。

脱皮のほんとの直前でしょうか。そのせいで動きが鈍いのか。

ヘビが怖くない方は慰霊碑にゆっくり近づいてみると彼らがいるかもしれません。

そっと、やさしく驚かせないように。

電気柵とニッコウキスゲ 霧ヶ峰

2011/07/27

白馬五竜高山植物園、その周辺でも見ごろを迎えているニッコウキスゲ。

園内でも数多く咲くのですが、ニッコウキスゲの群落が有名なのは霧ヶ峰のニッコウキスゲでしょう!

先日7月26日に訪れてみました。ピークは過ぎたものの、それでも数多くみられるものです。

ところで、何か違和感が・・・。

そう、シカの食害からニッコウキスゲを守るために今年から電気柵を設置しているのです。

柵が写らないように撮ることも出来ますが、記念写真などを撮ろうとすると柵は必ず写ります。

それでもやはり柵の効果はあるようで、開花のピークは過ぎたとはいえ、柵の外と中では開花量に差が出ているように感じます。

 

昔の写真を掘り起こしてみると・・・

写真は全て2005年7月17日のもの。

改めてみるとすごい群落です。観光収入もすごいものでしょう。

ニッコウキスゲ、年によって開花の量にいわゆる当たり外れが出ます。それも大きく。

例えば昨年は開花が少なかったようですが、それが全てシカのせいとは言い切れないもの。

それでも開花が少ない年は各場所が平均して咲かないもので、柵の中はきちんと咲いている今年はやはり当たり年、そしてまわりが少ないのはやはりシカのせい・・・こうなるのでしょうか。

シカが増えた、なぜ増えた、どれだけ増えた、その対策、何を守るか、生態系か、観光収入か、建前と本音、人はどう在るべきか。

様々な議論や考えはあるでしょうが、本当の答えなど存在しないだろうもので、この場では何も議論はしません。

それでも、一観光客としてみれば、柵の中だけで咲いているのは、いやだな・・・。

今後も、花が 咲く ためにはどんな 策 をとるべきか。

困ったものですね・・・。

熊、・・・熊、・・・態・・・?

霧ヶ峰にはシカの他にもいろんな動物がいたりします。

キツネに近寄ることが出来ましたが、オオカミでもいればシカを食べてくれるのだろうか?

 

最後にテーマとは関係ないおすすめをひとつ。

霧ヶ峰にある八島湿原。

この奥にある、みさやまヒュッテ。

素泊まり宿泊、喫茶ですが、経営のひとりが学生時代の友人です。

花咲く高原には、良い場所がいろいろとあるものです。

ガラスの内側

2011/07/20

緑のカーテン、という言葉を聞いたことがありますか?

ヘチマやゴーヤ、アサガオなど、つる性の植物を窓の外に這わせて、室内の陽射しを和らげ冷却効果を狙うもの。

それを今、エスカルプラザでも作っています。

何か違和感が・・・?

 

そう、室内にあるのです!

外に這わせることで、陽射しを和らげる緑のカーテン。

それが中にあれば、冷却効果は「ゼロ」!!!(笑

・・・しかしながら、室内にあるという植物への親近感、面白さ、意外性、そんなものを狙っています。

部屋の中にヘチマやヒョウタン、ゴーヤがぶら下がっていれば楽しいだろうと!

そんな発想から作ってみたものです。

しかし、面倒な点がひとつ。

室内に昆虫が皆無なので、受粉が起こらず実が自然には出来ないこと!

だからたまに脚立で上に上って人口受粉をしなければなりません。

・・・くそ、手間がかかる。

室内にハチでもチョウでも放してみようか・・・

 

ということで、室内で夏らしさの清涼感をお楽しみください!

緑の「インドア」カーテン、これからさり気なく流行るかも!?

外国の高山植物、いろいろ咲いています

2011/07/15

植物園には外国の高山植物を植えた区画があります。

普段なかなか目にすることの無い植物を見てもらいたいものです!

エーデルワイスも咲いています!

カンパヌラ・ガルガニカ

シレネ・アコーリス・アルバ

タマシャジン

アスター・アルピヌス

カンパヌラ・アウチェリー

ピレナイオダマキ

アルニカ・モンタナ

ヒマラヤの青いケシも咲いています!

今年は昨年より花が少ないですが、見ごろの時期を迎えています。

 

 

外国の高山植物を山の中に植栽することに、否定的な意見を耳にすることがあります。

自然の中にわざわざ植えるべきことは否だ!というもの。

それでも、やはりなかなか見られない姿の植物には多くの人が心踊るもの。

「植物」そのものに興味を持ってもらうきっかけづくりであったり、

日本の植物と比べてどうか?それを楽しみ、感じてもらったり、

寒冷地でないとなかなか育たない植物を見ていただきたい、

そんなことが外国の高山植物を展示する目的です。

もちろん、民間経営の中で多くのお客様に来ていただきたいのも本音です。

私自身、大学では帰化植物の在来種への影響などを研究していたこともあり、外国の植物導入には注意を払っています。

野生化しにくい種類の選定、種子回収などの適切な管理、それらを心がけています。

様々な考えがありますが、まずは楽しんでもらえたらということ。

そして管理する側も多くの影響を理解する必要があること。

これらを大事にしたいと考えています。

リフトの植物ご案内

2011/07/15

園内の上り坂を行くことの出来る、アルプス展望リフト。

今はニッコウキスゲが見ごろです。

リフトに乗りながらも植物を見ることが出来るのですが、それらの植物をきちんと知りたいという要望が多いものでした。

そこで、リフトに乗りながら見える大きさ、流れるリフトから見えるような、読みやすさを心がけた最低限の解説を書いた看板を作り、設置しました。

例えば、リフトのことであったり、おすすめのコーヒーなどの看板も作りました。

植物ばかりではつまらないので(儲からないので!笑)

設置後に試しにリフトに乗ったら、見やすいように出来たと思います!

リフトに乗りながらの話題作りにも良さそうです。

例えば紅葉の時期には紅葉の解説をするとか、そんなのも良いかもしれません。

山の観光では色んな場所にリフトがありますが、知っている限りではこんな感じで見やすく設置した場所は他には無いです!

 

ところで、割と強制的に見せられる位置に設置しているので、・・・今度は広告料でもとって色々と宣伝しようかしらね(笑

白馬岳登山

2011/07/08

北アルプスを眺めながら園内の植物を管理していると、やはり現地に行って自生の植物を見たくなるもの。

まだまだ雨の多い時期ですが、先日、白馬岳まで日帰りで登山をして植物を観察してきました。

白馬尻から大雪渓

キヌガサソウ

キヌガサソウの出たての姿は折りたたまれた傘のようでした

オオサクラソウ

シラネアオイ

ハクサンイチゲ

クジャクチョウとウルップソウ

ウルプウソウ

ウルップソウの白花でした

ツクモグサ

ライチョウ

 

今年は残雪の多い時期。7月でしたがツクモグサやウルップソウなどが見ごろでした。

さて、明日からも山を眺め、野生の植物を思い出しながら園内の植物を育てていきましょうか。

慰霊碑のヘビ

2011/07/05

地蔵のケルンからちょっと先に進んだ所に、山岳遭難の慰霊碑があります。

実はそこに行くと、ほぼ必ずといっていいほどヘビをみかけます。

種類は、アオダイショウやシマヘビです。

ほどよい岩場の感じが良いのか、岩の隙間を住処にしているようで、近寄ると決まった穴に隠れていきます。

 

ところで、最近アオダイショウとヤマカガシが仲良くいるというウワサを聞き、今日見に行ったところ、ウワサ通りのものを見かけました。

からみあうアオダイショウとヤマカガシ。

こんなにヘビ同士って仲の良いものなんでしょうか・・・?

自然遊歩道に地蔵の沼にはカエルも多くヘビのエサとなる生き物もいるのですが、この場所は決してエサが多いわけではないような。

異種のヘビたちが仲良く同じ場所に暮らしている・・・、「遭難した方たち」では?と、やはり考えずにはいられません。

今年の青いケシは

2011/07/04

昨年から開花が見られるようになったヒマラヤの青いケシ。

今年は昨年の暑さや雪解けの遅さから開花が遅れていましたが、ようやく咲き始めています。

園内広場に小規模ながら青いケシを観察できる場所を作りました。

あまり園内を歩き回れない方も、雨の日で園内を歩き回るのが面倒なときも、ゴンドラを降りてすぐに手軽に観察することができます。

園内でも次々に咲いてきています!

7月の半ば過ぎには一つのピークを迎えると思います。

おそらく7月の海の日連休あたりではなかなか綺麗に咲いていると思います!

ぜひお越しください!