緑の調律日誌

その他ひとり言

ニッコウキスゲを増やそう

2011/07/04

ただいま自然遊歩道の方ではニッコウキスゲがどんどん咲き始めています。

この黄色い鮮やかな姿は万人に受け入れられる魅力があるものと思います。

アルプス平自然遊歩道にも多いものですが、ニッコウキスゲが一面に咲く場所はあちこちにあり、その光景は圧倒されるものです。

植物園内にもニッコウキスゲはあるのですが、土が合っていないのか、株が古くなってきたのか、イマイチ咲きが悪いものです。

過去に植えたものが花が咲かず、どうも株が細かく分岐するようになってきているようです。

そこで、株を掘り起こし、一本ずつ分けて再度植えなおす作業を試しています。

写真のものは全て今年咲かなさそうなもの。これでも園内の数パーセントに満たない数。園内には潜在的に相当な数のニッコウキスゲがあるものです。

今年も去年も咲きそうに無いニッコウキスゲ、それを掘り出し一本ずつバラして離して植えてみます。

ちなみに昨年も同様に、花が咲きそうにない株を掘り起こしましたが、これを一本ずつポットで育てたらきちんとつぼみが伸びてきました!

これらは園内の良い位置に植えてみました。

きちんと管理すれば来年も咲いてくれるでしょう。

白馬五竜高山植物園は地元観光組合と地域一体になって作ってきた経緯があり、現在も定期的にボランティアとして作業を手伝って頂いています。

今回は午前中に皆で植える場所の雑草取りをし、午後にニッコウキスゲを堀りあげ、植えたものです。

これらを上手く管理し、園内を黄色で埋め尽くしてみたいものです!

一面の黄色はまだ先でしょうが、園内のつぼみを見る限り、昨年より増えてきたように感じます!

植物園のお仕事

2011/06/30

植物園の仕事は園内の植物管理、看板や展示の作成、ガイド、育苗作業等いろいろありますが、こんな作業もあったりします。

園内に新しく道を造成しています。

直線的な道だけだと急勾配になりやすいので、花畑のすぐ横を横切れるような道を作っているところです。

道になるところの植物をどけ、適切な場所への移植もしたりします。

積み重ねてあるのは畦畔ブロック。

「最近は田んぼで見なくなったなー」と近所のおじさんも言っていたりしますが、園内では歩道に用いたりしています。

こちらは育苗スペースが狭くなってきたところで、植物を置ける場所を増やしています。

黒いシートは防草シートといいますが、草を刈ったところにこのシートを敷くと雑草が生えなくなるので、植物を置いたり、時には棚を設置して、植物を育てるスペースにしています。

山麓の施設で育てていると、気温が高いことから植物の開花が園内のものより早まります。

ニッコウキスゲのつぼみが膨らんできたので、近々園内に植栽を予定しています。

園内に咲くものよりも一足早く開花を楽しめるように、そんな工夫もしたりしています。

 

体力も、頭も、技術も必要な、多岐に渡る植物園の作業。

梅雨の晴れ間を利用したり、雨の日こそ植物を外に植えたり、夏の間はやることが多いものです!

エスカルプラザでの展示は

2011/06/23

さて、以前エスカルプラザ内にビジターセンターのように展示を作るといっていたスペースですが、

こんな感じに今なっています。

小難しいものは置いておいて親しみやすいスペースを・・・。

そんなことを目標に展示を作ってみました!

テレキャビンで園内に上がる前に立ち寄ってみてください!

カモシカと写真を撮れるようにしてあるのもおすすめですよ。

春の植物のゆくえ

2011/06/03

白馬五竜高山植物園の山麓にある、五竜かたくり苑。

三週間前の満開時には斜面一面を紫色にするほどでした。

 

さて、今はどうなっているのか。

2011年6月3日

あたりは背丈の高い草で覆われています。

これらの草が伸びる前に真っ先にカタクリなどの春の植物は花を咲かせるわけですね。

そのカタクリは、今はこんな感じで。

葉っぱは、まさに溶けるといった表現が適切なように、薄く透けるくらいになっています。

花茎と果実だけはしっかりとしていて、種はこれから熟す時期です。

わずか一ヶ月くらいの短い期間しかみられない春の植物たちも、そろそろ種を作り、次の春まで一年近い休眠へと入ります。

 

さて、夏が始まりますね。

葉の先から

2011/06/03

夕方に植物に水をやろうとして気づいたこと。

コマクサの芽生えですが、葉の先端からきれいに水滴が出てきています。

どうも例外無く全ての葉から出ているようで。

葉が一枚の芽生えだけでなく、成長してきたコマクサの葉っぱも同様でした。

 

この日の天気は、雨のち晴れ。屋根つきの場所なので雨粒が当たったわけではなく。

時間や湿度、天気などと関係して、どんな時にこうなるのか・・・。小学校の自由研究とかだったら面白いテーマなのかもしれません。会社の人のお子さんに調べてもらおうかしら・・・。

ちなみに気がつけば部屋の中で育てているヒメウラシマソウも同じように分かれた葉の先端から水滴がついていたりします。

毎日の水やりも、こういう何かを探しながらやると面白いのかもしれません。

5月15日、冬?春営業終了

2011/05/16

白馬五竜スキー場の冬?春営業は、5月15日を持って終了しました。

これから一ヶ月間は整備点検の時期に入り、白馬五竜高山植物園は6月16日からの営業となります。

2011年5月15日の状況です。

最近までスキー場を営業していただけあって、雪はまだたくさんあります。

場所によって積雪は違いますが、多いところで2m近くでしょうか。

一方でロックガーデンの方は風で雪が飛ばされやすいこともあり、ほとんどで雪が溶けています。

場所によって雪解けのスピードが違うのは高山も同じ。高山ではその雪解けの差が、生育する植物、開花時期のバラつきなどを生み出し、多種多様な生態系が作られているものです。

植物園の上部では、ザゼンソウが咲いていました。

茶色いミズバショウの仲間ですが、自分で熱を持つため、周りの雪が溶けています。

場所によってはフキノトウがたくさん出ています。

山菜として有名で姿はかわいいのですが、キク科の植物だけに成長すると綿毛を飛ばし、あちこちに生えてきます。

そうすると雑草として抜き取ったりしないといけないのですが・・・、この時期に取っておけば、増えすぎるのを多少は抑えられる!ということでフキノトウを採り、油で揚げて処理してしまいました(笑

残雪の北アルプスを望む園内にて、雑草駆除を兼ねフキノトウを採り、レストランで天ぷらやそばを楽しむエコツアーなども企画出来るような気がします。

白馬五竜高山植物園の営業は6月16日からになります。

営業開始すぐにはチングルマやシラネアオイといった雪解け後すぐに咲く植物が綺麗に見られるはずです!

初夏の白馬にもぜひお越しください!

白いカタクリ n万分の2の確率

2011/05/11

白馬五竜かたくり苑が最盛期を迎えています。

今年は雪解けが遅く例年より遅れたものです。

2009年は4月28日ごろ、

2010年は5月5日ごろ、

2011年は5月8日ごろ、が満開でした。

写真は2011年5月8日撮影 遠くでも一面のむらさき色が見えます。

たった数日、されど数日、カタクリの花は、一日に全体の一割近く推移するので、一週間のズレは5割以上のカタクリが有るか無いかの差になるわけです。

例えば、2009年に4月の終わりが綺麗だったから、今年もそうかしら、と同じ時期に来た人は全然咲いていないカタクリを見たことでしょう。

 

一面に咲く、五竜かたくり苑のカタクリ。

こういう場所で、むらさき色のカタクリを、じっっくり目を凝らしてみると、

白いカタクリが見つかるかもしれません!

五竜かたくり苑では、今年は2株見つけることができました。

野生のカタクリの白花は非常に珍しいといわれています。

何万分の一かで出るようですが、五竜のかたくり苑は一体何株あるのやら。

10万株ともいわれますが、近隣の森の下にもかなりのカタクリがあるので、それらも合わせれば、かなりの低い確率といえるでしょう。

もっとも森の中だと白いカタクリを探すのも大変でしょうが・・・。

白いカタクリがあると知らずに見つけるのは至難の業でしょうが、

あると思って探せば、目を凝らして頑張って見つけられるかもしれません。

白いカタクリは昨年と同じ位置で今年も咲いていました。

カタクリの花には周期があるようで、今年咲いたものが来年も咲くとは限りませんが、それでも来年にも咲いている可能性は大です。

今年新たに見つけた白いカタクリは、去年には咲いていなかったわけで、来年には別の新しい白いカタクリが咲く可能性も十分にあります!

まだ見ごろのカタクリを見に来るも良し。

来年に来られる方は白いのを見つけてやるぞ!という目標を持って来るのも面白いかもしれません。

植物を見ることには色んな楽しみ方があると思います。

ところで、先の写真の一日前ではこんな様子。

他のカタクリは咲いているのに、白だけまだ…。

一日早い、遅いだけでベストな時期を逃してしまうカタクリ。

良い開花時期、天気、時間、そういったものをうまく合わせられるのは、運頼みです!

NHKみんなの趣味の園芸

2011/04/19

NHKみんなの趣味の園芸、というサイトをご存知でしょうか?

園芸を生業とする人、植物園の人だけでなく、園芸好きの人は誰でも参加でき、開花や栽培などの情報交換をしているサイトです。

http://www.shuminoengei.jp/

今回から白馬五竜高山植物園も、植物園サイドとして参加させて頂くことになりました。

 

字数、写真制限の無いブログではあらゆるジャンルの記述をしていますが、

こちらの園芸サイトでは短い記述が向いているため、こまめに開花情報等を流す形になります。どうぞ合わせてご覧ください!

長野県シカ牧場?

2011/04/18

東京などでは桜の花も散った頃でしょうか。

白馬では桜の花はまだ咲かず、

桜とカタクリなどの春の植物を求めて南へ50km行った松本では、桜の花が満開でした。

春植物を探してバイクで山へ入り谷間の道を上がり、気がつけば美ヶ原まで着きました。

遠くにはテレビの電波塔が立ち並び、高原道路としてドライブも最適な美ヶ原。

夏にはこのあたりは高原の植物がたくさんみられるトレッキングを楽しめる場所になります。

ところで、左の茶色い山に動物がいるのが見えました。

ちょっと距離が遠いので、近くまで行ってみることに・・・。

赤い丸の中、バイクのロゴのカモシカが見つめる先に何かが群れています・・・。

そんな、馬鹿な!

いや、馬はいないか・・・。

野生のニホンジカの群れです。

牧場のように群れていますが、飼育でも放牧でもなく、野生のもの。

一体、何頭くらいいるのか・・・。

写真のものを数えてみました。

画像の上で確認できたもので、103頭!

あの地平線の向こうにいるのも入れると、どれだけになるのか。

 

近年、各地でシカが増え、高山植物が食べられるなどして問題になっています。

長野県でもあちこちで見かけ、夜に林道を走ると道路上でも出くわしますが、昼間にこれだけ見かけるとは・・・。

長野県の北部ではまだ少ないのですが、だんだん増えているらしく、去年の夏にはいよいよ白馬五竜スキー場のゲレンデ内でも見かけました!

植物園内の標高ではまだ見ていませんが、近いうちに園内の植物もシカに食べられてしまう日が来てしまうのかもしれません。何とかしなければ。

 

ちなみにシカの肉は、固めの牛肉のような・・・結構おぃしぃです。

日本一! 白馬のザゼンソウ

2011/04/16

春になり、白馬の山麓でも次々に色んな花が咲き始めました。

ザゼンソウという花をご存知でしょうか?

肉厚の茶色い姿。可愛らしいような、不気味なような・・・。

ミズバショウの仲間の茶色いやつ!そう言えばピンと来ますでしょうか!

ミズバショウは湿地に見られるのですが、ザゼンソウはミズバショウより乾燥した場所でも多く見られます。

 

ところで、この花の最大の特徴は・・・

何と、自分で熱を出していること!

写真のように雪も溶けてしまいます!!

岩手大学農学部の伊藤菊一教授と温度を測ったところ、写真のものでは27.8℃まで上がりました。

触っても暖かく感じるものではないですが、外気温よりもずっと高くなっていました。

花が早春の時期に暖かいと虫が多く訪れ、受粉には有利だと言われています。

 

ところで、白馬には、日本一と言われているザゼンソウの群生地があります。

写真は2009年4月19日のものです。

白馬の山麓にある「飯森ざぜんそう園」です。

スキーに来られている方なら、白馬五竜スキー場いいもりゲレンデの駐車場そば、と言えば大体の場所がわかるでしょうか。

写真は昨日、2011年4月15日のものです。

今年は全体的に雪が多く、まだザゼンソウの開花もポツポツ、といったところです。

しかし、連休に向けてどんどん増えると思いますので、今から来ても間に合います!

 

ところで、例年この時期の休日に、「白馬ザゼンソウ祭り」が行われていますが、

今年は地震の影響を考慮してイベントが中止になってしまいました…

白馬村観光局公式サイト http://www.vill.hakuba.nagano.jp/privilege/09springflower/index.html

昨年のイベント案内 http://www.hakubagoryu.com/zazensou/index.html

昨年以前の写真では、こんな感じでイベントが行われています。

活気あるイベントが行われないのは、やはり残念です。

けれど、野の植物は変わらず咲いていますので、この時期ならではの花に会いに来てください!

 

今年の春植物のポイントは、「去年より一週間は遅め!」

一週間というのは私のなんとなくの感覚ですが・・・、去年のもので写真の日付など確認できるものより遅めに来ると良い感じに咲いていると思います!