スキー場業務が一段落し、春の雪解けを待つこの頃、実家がある神奈川まで植物を見に行きました。
ところで、「山野草」とは何でしょうか。
明確な定義はないものの、「鑑賞価値の高い草花」といったところ。
さて、それらはどういった所に生えるのか…。
綺麗な花を咲かせる草本類は、背丈が低く、陽光を好むものが多いものです。
そのような草が生育出来る場所は限定されます。
樹木が生い茂れば光が遮られるためです。
その為、いわゆる「山野草」が咲く場所としては、
・過酷な環境により、樹木の生育が制限される「高山」
・強い潮風により樹木の生育が制限される「海岸」
・樹木がなかなか定着しない「崖や崩壊地」
・洪水等により樹木が定着しない「河川敷」
・人が樹木を刈り取ったりする「道の脇」
・カヤなどを入手するため人が維持管理する「半自然草地」
などが挙げられます。
つまり、自然にしろ、人為にしろ、
いかにして「樹木が生えないか」が重要になるようで。
(もちろん、森の中に咲いたり、樹と共生したり、日陰で育つものも多いですが)
山野草=高山の植物、というイメージも強いですが、
「高山」とは対極に位置するような「海岸」にも綺麗な花は多いわけです。
・・・ということで、神奈川の海や街の植物を見ていきます。
(前置きが長かった・・・・・・)
三浦半島の先端、城ヶ島。
強い潮風や、切り立った崖が多く、海岸らしい植物が多くみられる場所です。
海辺にあるお気に入りの草のひとつ、「ハマカンゾウ」
有名なユリ科の植物の「ニッコウキスゲ」をご存知でしょうか?
ニッコウキスゲの仲間で、海岸に自生するものです。
花が咲くのは、夏の終わり頃。
ニッコウキスゲと同じような花が咲きますが、あんまり知名度が無いように感じるのが残念なところ。
ニッコウキスゲは標高の高いところに行かないと見られませんが、身近なところに近縁種がある、それが面白いものです。
「ハマボウフウ」の枯れた花序です。
高原でお馴染みの、シシウドの仲間になります。
左はハマボウフウ、右はオオハナウド。
海岸に生育するハマボウフウは比べて葉が硬く、厚く、海辺に耐える構造になっているようです。
観音崎自然博物館の展示より。
海岸性のマツムシソウ、「ソナレマツムシソウ」も海辺の山野草といえるでしょう。
絶滅危惧種ともなり、自生の姿を目にする機会は少ないようですが、
観音崎の自然博物館では保護増殖をしているようで、博物館では育てている個体を目にすることが出来ました。
観音崎自然博物館ホームページ
http://kannonzaki-nature-museum.org/index.php?ca=3&sca=1&ssca=76
こちらは個人的に大好きなサトイモ科テンナンショウの仲間、「ウラシマソウ」。
花の中から釣り糸のように垂れたあれは、何のためにあるのか・・・。
植物の不思議を感じさせてくれます。
長野県では絶滅危惧種になっている植物ですが、
写真のような森の中に行けば三浦半島?横浜市では簡単に見つけることが出来ます。
鎌倉の刀剣屋のショーウィンドウの中にも活けられていました。
この仲間は生け花の素材としても使われるそうです。
こちらは「トウオオバコ」。
葉と花の長さは、よく見るオオバコを数倍にもした大きさ。
海辺の植物とは何と不思議なものか。
スミレの仲間、「タチツボスミレ」。
このスミレは、都会の中でもよく見かける種類です。
田んぼからコンクリートの壁まで生育し、春の訪れを感じさせてくれます。
山野草、というと身近には無い高嶺の花、といったイメージもありますが、
私の知る三浦半島、横浜市?鎌倉市には、それに類する魅力的な植物を多く見ることが出来ます。
信州の植物を見に来る前に、見に来た後に、皆さんの地元の植物をもう一度見直してみると面白いかもしれません!