緑の調律日誌

その他ひとり言

緑のコントロール

2010/07/31

園内では、赤い花をたくさん咲かせるシモツケソウが、満開近くになってきました!

ところで・・・、奥にある花の方が色が濃く、花が多い気がしませんか?

「いや、それは角度による見え方や、写真の撮り方によるものでは?」と言うかもしれませんが・・・

ホラ、この通り!横からインチキ無しに撮っても、やはり違います。

実はこれは肥料によるものです。

昨年この場所のシモツケソウは、うどんこ病にかかり、ほとんど咲きませんでした。

間引きや堆積した落ち葉をどかすなどして、風通しを良くし、手入れをした結果、順調に育っているようでした。

そして、肥料をまいたらどれだけ成長に違いが出るか、を確かめるべく実行したところ、面白いほどに結果が現れました。肥料を与えると、見た目でわかるほど葉の色が濃く、花も良く咲いていました。

それらの違いを記録として残すのも面白いかもしれませんが…、

研究のための研究として、数値に残すには、いまいち頭と時間が追いつかないので、

用のための研究として、頭の中に蓄積していこうかと思っています。

そして様々な植物で試したその結果を今後は植物の種類と目的に合わせて肥料を使い分けるなどしていきます。大きく育てるべき植物、小さく魅せるべき植物、それらに合わせ。

上の写真は、道から見えない園内の真ん中ですが…、宝の山とも言えます。

イネのように見える細い葉っぱ、種から育ったニッコウキスゲですが、密になりすぎて花が咲くに至っていないようです。

ためしに掘り上げてみると、大きさは十分。日当たりよく、用土にも栄養のある場所に一本ずつ植え直し、肥料を適量置いてみました。もとあった場所ではニッコウキスゲがあまり咲いていないだけに、植え直した場所で来年に開花が多く見られれば、処置は適切であることになりますが…来年をお楽しみに。

種子による繁殖も昨年から試しています。霧ヶ峰のようなニッコウキスゲ群落を人為的に創り出すことを目標にしつつ。

園内では、近隣の関係ある企業様が、ボランティアとして作業に参加して下さっています。

今回の作業は、コマクサ群落の手入れです。

コマクサを植栽している箇所の用土の劣化によりコマクサの開花数が以前より減ってきていたため、全面改修を行っているところです。昨年の施工場所では、予想以上に新規の芽生えが多く、開花株もしっかり育っていました。

いくつかのトライを経て相応の結果を導き出し、必要とあらば大人数で目的の達成に向かう…。この流れを上手く作っていきたいところです。

今日園内に、このブログを見た!という方が園内に来られ、私を探していたとのことでした!

前回の「自然に見せるためには、100本のユリで埋め尽くすよりも、95本の雑草が5本のユリを引き立てる構成にすべく」というくだりに共感して下さったとのことで、ありがとうございます。

以前には「カブトムシは本能で、植物は理性で学び始めた」という内容に感心した、という方がいたとも聞いています。

最近のこのブログ…、開花情報よりも、植物に見る精神論的なものも多くなってしまっていますが、今後ともよろしくお願いいたします。今後も様々な情報、意見等を載せるようにしていこうと思っています。

白馬岳登山

2010/07/28

ハクバ村にあるシロウマ岳。

いわゆる登山を始めたのは信州大に入ってからですが、25歳の今、白馬岳は信州に来てから毎年登っていて今回で8年目10回目の登山になります。

今までは、植物調査目的で登っていたもので山小屋泊でしたが、今回は単独で日帰りをやってみようと思って登ったものです。

朝5時に猿倉に到着し登山開始。写真は大雪渓手前の白馬尻ですが、最高の天気です!

ところで、偶然にもここで、園内のイベント時には合唱をやって頂いているハーモニー白馬のメンバー方に出会いました!登山をして、山頂付近にてみなさんで歌うとのことで・・・。とても楽しそうでした。

大雪渓を登ります。どうやら、下は雲海につつまれており、頂上に着くまでに曇ってしまったらどうしようかと気になります。

大雪渓は落石が多い場所で多くの方が無くなっている場所でもあります。

ラクあれば苦あり・・・。ひたすら上を目指します。

雪が多かった影響か、以前にこの時期に登ったときよりも植物がやや早い気がしました。

それでもハクサンイチゲなどはみな新鮮な花で数多くあり、良いタイミングでした。

クルマユリやハクサンフウロなども多くみられます。

白馬五竜高山植物園には、「白馬連峰高山植物生態園」と名付けられたロックガーデンがあります。

白馬連峰の植物を自生に近い形、植物群落で観察出来るものを目指したものですが、再現すべき自然が目の前にあるわけで、それらを写真、数値、メモを交えながら、自身の経験として積み重ね、用いるべき資料としていきます。

辿り着く結論は、誰もが注目する華やかな花はもちろんのこと、誰もハナから注目しない花も入れなければならないこと。

クルマユリという主役を引き立たせ、健全に育てるには、ヨモギ、セリ科、タデ科、イネ科、スゲ類といった地味な植物も交える必要があります。自然に見せるためには、100本のユリで埋め尽くすよりも、95本の雑草が5本のユリを引き立てる構成にすべく。

登り進めていくと、ハクサンイチゲと並ぶこの時期の花、シナノキンバイも増えてきます。

この時期の「お花畑」はやはり良いものです。

変わったイワギキョウを見つけました。

左の方は、花が2つくっついてしまったのでしょうか?右の形が正常ですが、こういった奇形や色違いなどを見つけだすのも面白いものです。

信州大の頃は、植生復元活動、その調査にて白馬岳に登っていました。

踏みつけ等により植生が荒廃した場所にネットを張り、その効果を毎年記録するというもの。

今では、一連の活動は一通り終了していますが、果たして今はどうなっているのか。

毎年それを見に行くために登っています。ウルップソウの実生が多く育っていました。

大雨や強風であっても高山で調査をするという技術や心構え。それらは間違いなくこの場所で身に付けたもの。かつての仲間との苦楽を思い出しながら、私はこれからも毎年この場所を訪れます。

やっぱり山頂は良いものです。富山県側から周辺の山々のほとんどを見渡す晴天でした。

しかし、眼下にある大雪渓は雲に包まれており、今登っている人は何も見えていない状況でしょう。

ちなみに、この後下山中は太陽が隠れ、車に乗ると雨が降りました。運が良かった。

? 

人によって山に登る理由やスタイルは様々です。

ピークハンターや、タイム短縮を目指す人も多いですが、私の場合は植物や景色を眺め、写真に撮りながら気ままに登ります。

それでも一応区間時間を数えてみると、休憩や写真撮影、植物観察を含め、猿倉‐白馬岳山頂は、登り5時間15分、下り2時間45分でした。日帰りが十分出来ることがわかったので一日の休みでも気軽に来られそうです。

そして、まだまだ体力は向上中のようです。来年もこれからも、健康に登ることが続けられたらいいなあ。

カブトムシ園オープン!

2010/07/16

明日、白馬五竜カブトムシ園がオープンします!

課長とコツコツと進めてきたところ、今日で総仕上げをしてようやく準備が終了しました!

・・・実は、長雨の影響かカブトムシの発生が遅れており、開園を控えて予定した数が用意出来なさそうでした。

ところで関連のあるゴルフ場の片隅で積み上げた木材チップからカブトムシが大量に出ているというウワサが!

急遽、部長の号令でカブトムシ採集部隊が結成され、数人がかりで数百匹のカブトムシをかき集めてきました。ああ、面白い会社だなあ!

おかげ様で、園内はカブトムシが悠々と闊歩するようになりました!

入園料200円、カブトムシセット(オス、メス、虫かご、えさ)800円です。お越しください!

 

ところで、会議で社長に問いかけられたこと・・・

「君は、カブトムシと植物、どっちが好きなんだい?」

さて、どう切り返すべきか。思案すること2秒弱・・・。

「カブトムシは本能で、植物は理性で始めたものです」

会議の場には笑いが走りました。君は上手いこと言うなあ、と。

子供がカブトムシと遊びたがること、それには理由などないのでしょう。

多くの方がここで楽しんでいただけることを期待しています。

 

園内の青いケシも良い感じです!

多くの方が本能のまま、自由に楽しんでいます。

花は8月の上旬までは見られそうです。ご期待ください!

クワガタ探して

2010/07/09

いよいよオープンが7月17日に迫った「白馬五竜カブトムシ園」。同時にエスカルプラザ内で世界、日本のカブトムシ、クワガタムシ展示を予定しています。

その展示用にと、休日の日はバイクを走らせクワガタを探して走り回ります。

バイクに乗っていても、遠くに見える樹種の判別はある程度出来ます。そしてクワガタが好む種類の木、好む条件の木を、わき見運転(マネしないでね)で見つけます。

例えばこういう道沿いの一本の木でも(オオバヤナギでした)、樹液がしっかり出ていて、実際にクワガタがいたりするものです。

今回は、ノコギリクワガタを多く見つけることが出来ました。

写真では、樹液を吸うメスを、オスがとりあっています。

ところでクワガタ探しというと、森の中のクヌギを想像しますが、実は意外なところにも多いものです。

写真のような河川敷のヤナギの小低木に実はクワガタは多いものです。今回新しく発見したクワガタポイント(場所は内緒で)ですが、面白いほどたくさんのノコギリクワガタを見つけることが出来ました。

その昔とある河原では、親指くらいの小さいカブトムシが50匹以上(動くので途中で数えられなくなった)一本のヤナギの木に群がっているのを見つけたことがあります。身近にクヌギ林が無い方は、河原を探してみることをお勧めします。

 

白馬五竜カブトムシ園、着々と準備が進んでおります。

皆様のお越しをカブトムシ、クワガタムシ一同お待ちしております!

森和男氏の園内指導

2010/07/08

東アジア野生植物研究会を主宰する森和男氏。

多くの本を執筆し、山野草の雑誌にも毎回寄稿される森氏ですが、当園では植物の導入や、植物園としての在り方に森氏の指導を頂いています。

今回もヒマラヤの青いケシの開花状況や、園内管理などについて指導を受けながら、園内をまわりました。六甲や宇治の植物園スタッフ方も同行されました。クリスマスローズの生産者であり、NHKはじめ多くの講演をされている横山氏は自称晴れ男!ばっちり晴れました。

・・・ところで、森和男氏の魅力の一つは、自ら積み重ねた確かな技術と知識を持って、言うべきことをズバッと言うことなのかと思っています。

園内の改善すべき点、今後に繋げる植物の育成方法についてなどであったり、また、植物の生態学や分類学の現役トップクラスの教授の考えについても、筋立てた上で、はっきりと異論を唱えたりと。

私自身も植物生態学を学んだ端くれではありますが、なるほど、確かに「学者」方では植物育成、栽培という点では、知識や技術は多くが人並みかもしれない…。植物育成に関する知識を多く実践し、学者・植物園・園芸家など様々な方と交流し、純粋に植物を求めて足で得た経験を合わせれば……学者とは違った、研究者、探究者としてのオリジナリティを産み出せるのでしょうか。

私も軸となるべき自身の経験を充実させ、多くの方の意見を聞き、手に入れるべき正解に近づけたら…、と考えます。

園内では、青いケシが見ごろを迎えています!

また、自然遊歩道では黄色いニッコウキスゲも咲き始めています。

 

木陰の下で、会社役員ら、森氏と植物園の今後について広く意見交換をしたりもしています。

目指すべきものは大きく、そして手に届くように。

今後も白馬五竜は高みを目指して活動していきます。ご期待ください!

カブトムシ飼育

2010/07/06

趣味にクワガタ採集、などと書いている坪井です。もちろんカブトムシも大好きです。

飼育していたカブトムシがそろそろサナギになっているだろうな・・・と掘り起こしてみたところ、無事にサナギになっていました。

このサナギが成虫になるのは、7月中旬頃でしょうか。

今年の夏は「白馬五竜カブトムシ園」がオープンします。

テレキャビンとおみ駅のすぐ横にカブトムシを放し飼いにしたエリアを作り、採集体験などをしてもらおう、というものです。

看板も自作しました。

枝で文字を書く、というのは初めてですが、雰囲気も出ていたり、割と上手くいったような気がします。

 

私の学生時を知っている人だったら「それ、仕事でなくてお前の趣味じゃね?」と言いそうですが・・・

本気で、本物の技術を、高いレベルで行使する、またはそのための努力をする。

それが仕事なのでは、と考えております。うん。

そういうことで今年の夏をどうぞお楽しみに!

クワガタ採集 〔白馬五竜カブトムシ園準備〕

2010/06/25

趣味に「クワガタ採集」などと書いている坪井です。

まだ6月ですが、身近な野外にどれだけクワガタが出ているか、探しに行ってみました。

早速いました!写真はスジクワガタです。

場所は松本市。信州大の学生時に行っていたいくつもあるクワガタがとれるポイントのひとつです。

他の木を探していると、クワガタが居そうな木の穴にアマガエルが居ました。

この位置取りは・・・、クワガタが来ても食べられてしまうのかもしれませんね(笑

 

結局、この日はスジクワガタ、コクワガタが10匹くらい見つかりました。

時期的にカブトムシやノコギリクワガタはまだのようです。

虫を探す技術というのは、もちろん経験が必要でしょうが、木や草の名前を知ること、名前だけではなく、その木のある環境(光、水、風)などを感じることが大きいものと思います。馴れると、あそこにクワガタが居そうだな…、などと見えるようになるようです。

 

今年は、白馬五竜カブトムシ園がオープン予定です。

横浜市ながら、小学生の頃からカブトムシやクワガタムシをとっていた私ですが、昆虫採集の楽しさを子供たちに伝えられる施設になればと思っています。

今日採集したクワガタや撮影写真は展示に使用する予定です。

どうぞお楽しみに!

園内オープンしています!

2010/06/20

6月16日に開園して、最初の土日を迎えました。

数日前の予報が雨だったにも関わらず、来園して下さった方も多くみかけます。

今日の日曜は、晴れ間がのぞくことは少ないものの、雨も降らず、山も見え、梅雨時にしては良い天気でした!

地蔵のケルンのあたりです。グループで散策する方を何組も見かけました。

山の全景は今日は見えませんでしたが、ここからだと白馬村の全体を一望することが出来ます。

 

園内で咲いているチョウノスケソウです。

このチョウノスケソウ、知る人ぞ知る植物のひとつであり(つまり、知らない人は知らない)、ご指名で『チョウノスケソウの見ごろはいつですか?』と聞かれることも多い植物です。

一見チングルマにも似ていますが、やや大きめの白い花がきれいで、登山をしていても生息環境が限られることと、花期が短いので、高山植物目当てで登山する方でもなかなか目にする機会がないからなのかもしれません。

雪が積もらない岩場に咲くので登山シーズン前に咲いてしまうのですね。

おそらく見ごろは今週中まででしょうか。お早めに!

こちらは、『咲いてますか!?』とのご指名の問い合わせはいまだ聞いたことは無いものの、個人的に大好きなイワヒゲです。

岩場に生えるツツジ科の植物で、このヒゲのような葉っぱが面白い!

先のチョウノスケソウと同じく、この時期にしか咲いていない高山植物でもあります。

 

今は雪解け間もない植物の季節。

アルプス平自然遊歩道では、まだ新鮮な花のミズバショウ、カタクリも咲いているくらいです。

来月になると、いよいよ夏の植物の本格的なシーズンに入ります!

刻一刻と変わる、園内の高山植物をどうぞお楽しみに!

カモシカ赤ちゃん 大町山岳博物館

2010/06/14

長野県大町市にある「大町山岳博物館」ではニホンカモシカの飼育を行っていますが、先日9日に飼育中のカモシカが子供を産んだようです。

13日から一般公開とのことでしたが、その公開日に博物館まで行ってきました。

実はカモシカが個人的に大好きです。

偶然?にも野生のカモシカに触れたことがあったり、乗っているバイクがSEROW(カモシカ)だったり、白馬五竜の園内でよく見かける動物もカモシカだったりします。

カモシカの赤ちゃんですが、それにしてもかわいいものですね!

動物の赤ちゃんは育つのが早く、ぜひ見に来てください、とのようです。

白馬五竜高山植物園へアクセスするゴンドラの中からカモシカを見かけることは多いですが、これからはもっと注意して見てみようか。

長野県植物研究会195回例会

2010/06/14

「長野県植物研究会」というものがあります。

様々な視点から長野県の植物について研究を行っている研究会ですが、大学教授、博物館学芸員、県の研究員、民間の調査会社、高校の先生、学生、純粋に興味のある方、色々な方が参加しています。

今回は大町山岳博物館での講演会と近隣の山での植物リスト作成などを行いました。

それにしても、植物が好き、という言葉だけでは言い表せないような方が集まるわけです。

宴会をしながらも、聞こえる会話の内容は植物のことが殆どで、あちこちで各自が持参した植物標本を酒の肴にしながら、その変異や分布について語るわけです!

※植物の標本は見かけは押し花ですが、葉から根まで完全な形を保つものです

間違いなく、この場所に県内屈指の植物有識者方がいて、そしてその後継者方もここで知識を得ていくわけですね。

このような会に参加すると、自分の未熟さ、目指すべきものがどういうものか、それらを理解することが出来る気がします。私も研鑽を積んでいきたいと思っています。