緑の調律日誌

その他ひとり言

雪の階段 

2012/02/06

相変わらず毎日のように雪が降ります。

キンとした寒さ。テラスの机の上では雪の結晶が消えずに残っていました。

 

雪が降ると、相応の手間も増えるもので。

増え続ける雪、コンクリート部分との高さに相当の差が出てきます。

そこで、雪の階段を作ったりします。

植物のための雪かきをしていると、階段作りが必要な場所が見えてきます。

作業担当者、ノルマの決まっていない、いわば「雑用」。

けれど、お客様にとっては、確実に「必要な作業」。

階段を作っていると、

「歩きやすいね!」

「通ってもいいですか?(作ってる途中だけど)」

「わあ雪の階段だ!」

など、お客様の様々な様子を見てとることが出来ます。

作った階段を通ってくれるは嬉しいものです。

・・・しかし、通りたい道、ショートカットしたい場所、入り口に近い場所、それぞれなわけで。

全ての場所に階段を作るわけにはいきませんが、大まかな段差作りや、ツルハシで足掛け場所を作るだけでも違うようです。

普通のクツとスキーブーツでは、歩きやすさや歩幅も違うもので、実際に歩いて出来栄えを確かめたりします。

段差は低く、幅は広く、エッジは鋭く、段は水平より奥に低くなるよう、そんなのがコツ、でしょうかね・・・。

うむ、綺麗に出来た!

 

階段を作っていると、スキー客ではない一組のお客様が降りてくるのが見えました。

先日、窓口で対応したテレキャビンの料金を尋ねに来られた、

目が不自由な方とお連れの方でした。

「ここの階段、通っていいですか?歩きやすい階段があって良かったわ」

作り途中もタイミングではあったものの、歩ける場所になっていて、良かった。

 

昨日の天気、吹雪。

今日の天気、晴天では無いが穏やか、五竜岳も見えて。

夏の準備

2012/01/28

夏の間は仕事が、実にたくさんあります。

園内の除草、歩道管理、植物の栽培などのハード面はもちろん、

それを理解してもらう展示や看板作成なども仕事です。

やらなければいけない事、やるべき事、

やってみたい事、やれば良くなるだろう事、

それらをどのバランスでやるものか、

優先順位、人手、天候等により決めなければいけない。

今年の夏シーズンは植物の栽培に、だいぶ人手や時間を費やした。

…ということで、植物の看板の整理や手入れ等はどうしても後になったもので。

 

冬の間は、案内カウンター、インフォメーション業務の職場を、3人のスタッフと担当しています。

人が少ない日に、看板の手入れ、張替え作業などを手伝ってもらったりします。

「ツボイさーん、夏の仕事、持ち込まないでくださいよ!」

などと言われつつも、4人で仕事を進めれば、効率は4倍にて。

そして、作業終わりには受付カウンターの向かいにある、ハーゲンダッツをおごるもので…。4人で1000円。うーむ、高いのか安いのか。

 

仕事の取捨選択、タイミング、進め方、色々と考えることは多いものです。

マンガで青いケシを見つけました

2012/01/17

ヒマラヤの青いケシ、その認知度はいかなものか。

あるマンガで青いケシが一部ながら登場していました。

掲載は、集英社のマンガ、「ゼロ THE MAN OF THE CREATION」。

原作、愛英史。漫画、里美桂。全78巻。

この地球に存在する全ての物を「本物」に複製する神の手を持つ男ゼロの物語。

ハードボイルドな作風は、美術版ゴルゴ13とも言われることもあるようで、

テーマは美術工芸品が多いもの、植物に関する話もあり、事実を基にしたフィクションながら、そのリアリティはなかなかのもの・・・。

 

273話 悪魔のチューリップ (2002年)

ウィルスにより変異の起こったチューリップを再現し、殺人事件が解決する…というお話。

 

330話 ヘレボラス・クリムゾナス (2005年)

ヘレボラスとはクリスマスローズのこと。

新たな品種を再現するために、未知の原種を探し求める…というお話。

発見の日本人研究家は実在します。

 

148話 ブラシノライド (1997年)

母の持病を救う古い薬の調合には、植物ホルモンが絡んでいた…というお話。

 

話のメインが植物でなくとも、重要なポイントになるところでは、色々詳しく描かれている。

 

事実に基づいたフィクションは、中々に興味深いものも多く。

人生の前半で剣を、後半で絵を描く宮本武蔵はそれぞれ別人…。

タイタニック号は保険金のため、偽装した別の船を沈められた…。

始祖鳥の化石はダーウィンを騙す為の反進化論者による偽造…。

 

色んな興味を引き出すのに、なかなか面白いこのマンガ。

最も、事実とフィクションの線引きはどこか知らねばならないし、それを調べるのも面白いようで。

長くなりましたが、好きなマンガに青いケシが載っていたのが、嬉しかったわけで。

新春日曜大工

2012/01/13

エスカルプラザ室内、植物の増加に対応すべく、

自販機の裏に新しい棚を作りました。

一見すると、何の変哲も無い棚。

新品の木材でもないので、むしろ小汚い・・・。

しかし、これには手作りならではの理由があるのです!

実は、エスカルプラザの壁ガラスは、ナナメになっています。

ここに市販の棚を持ってきても、無駄になる空間が多すぎるものです。

そして、ナナメのガラスに対応した上で、ガラスを支える鉄筋に合わせ棚板の高さを出し、強度向上、無駄の無い光の取り入れを確保!

さらに、指定の育苗トレーがピタリと乗せられる大きさ!

自販機ウラは狭いので、ちょうどがちょうどいい。

更に言えば、最上段の棚は自分の身長に合わせた難なく水を与えられる高さに仕上がっています。

さらに、日の角度が浅い冬ならでは、棚板が上にあるにも関わらず、光が良く入るという。

何と素晴らしい、エスカルプラザ専用育苗棚!

まあ、光とか水やりしやすい高さとかは合わせて作ったら勝手に決まったものですが。

これでだいぶ植物を置くスペースが増えましたが、

まだまだ植物の増殖には限りが無いようです。

気温差52.8度

2012/01/12

以前紹介したように、冬の間もエスカルプラザの室内で植物を育てています。

ガラス張りの室内は、外が晴れれば暖かい春の日くらい、雪が降れば温度は上がらず。

温度計の傾向を見ると、15℃くらいを基本に、天候でプラスマイナス10℃と変化します。

今朝はニュースでもやっていたような寒さ。

白馬も寒く、外に設置した温度計は朝6時頃で14.8℃。

今日は久々の良い晴れ。

室内の窓際では汗が出るほど熱く、その中で移植作業を進めます。

作業および育苗の空間の室温は、28℃。

(昨日は寒くて、たびたび暖房の前に移動していたのに)

そして自販機の廃熱もあるスペースでは、最高気温38℃。

朝の除雪や出勤時の気温と、日中の作業空間の温度差は、40℃から50℃。

良く、季節の変わり目は堪える・・・と言いますが、

そんなものを超越した何かがここにはあるようです。

注:植物のメインの置き場は最高28℃、朝が10℃くらいだったので、

植物にとっては丁度いい、くらいでしょうか。

新春つぶやき三昧

2012/01/05

昨日、今シーズン初のスキーをした。

夏の間植物園であるゲレンデを滑る。

この辺がコマクサ、ウルップソウ、キバナシャクナゲときて、青いケシ、シラネアオイはコースから外れる。

そんなことを考えながら滑るのは、おそらく自分くらいだろう・・・と、良く分からない優越感に浸りながら滑る。

——————————-

ロックガーデンの山頂は冬でもしっかりと分かる。

圧雪はしていないようで、雪がやわらかい。

ストックを力いっぱい雪へと押し込む。

微かな抵抗の先に、ストックが3分の2ほど埋没する。

ゲレンデ積雪情報では、205cm、しかしこの場所は雪が薄く、60cmといったところか。

——————————-

夏の間も動いているリフトに乗る。

高さも速さも夏とは違う。

ブナの木々の先に実が落ちたカラがたくさんついているのが目につく。

ナナカマドの実は落ちていないものも多く、赤い実が鮮やか。

——————————-

植物園がある白馬五竜スキー場には何故か全然みられないヤドリギ。

八方尾根や栂池スキー場では良くみかける。

白馬五竜スキー場の隣のHakuba47ゲレンデで、今回3個だけみつけた(木の生え方が丸いので、あえて「個」で)。

白馬五竜とHakuba47をつなぐヤセ尾根の上級コース沿いを探してみたが、見つからない。

さて、ヤドリギの分布は何が影響しているのやら。

実を食べる鳥が植物園周辺には、少ないのかしらね。

——————————-

冬場のインフォメーション業務の参考にと、いいもり、Hakuba47の事務所を訪れてみた。

いいもりの事務所の方とは初対面であったものの、ブログ見てますよ、アオダイショウの話が好きです、と具体的に言われたのは嬉しいものですね。どれくらいの方が読んでくれているのだろうか。

——————————-

スキーは好きーだし、楽しんでいるが、上級者には成り得ない、そんなレベル。

安定した斜面ではカッコ良く滑れる(つもり)ものの、

凸凹やアイスバーンが出ると、型が崩れてしまう。

エッジでどのように雪面を滑るものか・・・。

日本刀で竹を切る、あの技術を考えてみる。

最適な角度、力の運びでないと、手前か奥に弾かれたりする。

竹の中に鉄棒が入っていようがそれごと切る、そんな感じで踏み込めばよろしい。

全くもって一般的でない例えを頭に描きながら斜面を滑り降りたりする。

——————————-

先日、上司から、植物園のツイッターやフェイスブックをやろう、との提案があった。

当たり前になりつつあるスマートフォン、あれがあればやり安いだろうが・・・、

最近の若者のように(自分も若いが)、常時ケータイやネットに触れていたいわけでもないので、通信料の高いスマートフォンが欲しいわけではなく、また泥作業しつつ会社の電話をとるので携帯電話は傷だらけ。こんな状況でタッチパネルなど触りたくない・・・。

けれど、植物園の情報は伝えやすいだろうし、リピーターの方は気にして下さるだろうな・・・と利点も多いはず。

さて、どうなるやら。今後にご期待ください、なるか?

アルクマ

2011/12/27

信州のゆるキャラ、『アルクマ』。

クマなく歩く、ということらしいです。

そんなアルクマが白馬五竜スキー場にもやって来ました。

子供たちにも大人気で、囲まれて動けないくらいに。

アルクマ君と、高山植物を一緒に育てている・・・的な写真を撮ってみました。

制服が紅白色なのは、まあ色々あるのです。笑

大町山岳博物館の展示

2011/12/11

企画展 『くさばなの一生』

白馬村のとなり、大町市にある山岳博物館で、おもしろい植物の展示が行われています。

カモシカの像が迎えてくれます。

草花の生態をボタニカルアート(植物細密画)と分かりやすい解説、写真で紹介しているものです。

この展示ではボタニカルアートの原画も正面に飾られ、ふつうの博物館の展示より美術館のような雰囲気が出ているのが良いですね!

ボタニカルアートを製作した山田恭子氏には当植物園の図鑑の絵も描いていただいています。

植物ごとのタイトルが、興味を惹くもので面白いものです!

外にはコマクサの栽培圃場もあるのですが、冬なり地上部が枯れてしまったコマクサがみられました。

 

市立大町山岳博物館、白馬から関東、関西方面へ帰る場合には道中にあるもので、植物園に来られた際、帰りがけに立ち寄られるのも良いかもしれません。

スキー場、再びオープン

2011/12/11

12月10日、アルプス平ゲレンデが滑走可能になりました!

一度は11月26、27日の土日に営業を開始したものの、暑さと雪不足で2日間の営業でクローズ。

それから、半月も経ったころ、ようやく再び営業開始の運びとなりました。

 

たくさんの人で賑わうゲレンデ。とてもここに高山植物があるとは思えないくらい。

植物園は行くけど、スキーには行かない、という方、ゴンドラ乗って、山見て、コーヒー飲んで、それだけのために来るのも面白いかもしれません!

 

写真はライブカメラより。

こちらのアドレスから参照できます。

http://livecam.vill.hakuba.nagano.jp/livecam/?id=4

左の撮影時間を選択すると、天気の変化なども見てとれて面白いです。

植物移動、雪に備えて

2011/11/30

雪国白馬。植物園関係者の方たちからは、「高山植物が育ちやすくていい」と良く言われます。

しかし、それには、「雪に対する努力」をしなければならないわけでもあり、・・・それなりに面倒です。

夏に植物を育てていた場所は、冬には雪上車を入れて除雪しなければならない場所のため、雪が降るまでに撤去しなければなりません。

夏に単管(太い鉄パイプ)で小屋を組み、そこで植物を育てていましたが、まずは苗箱をどかして、小屋や育苗机から全て崩します。

小屋を壊したら、次はこれらの植物の移動。雪が降っても大丈夫な場所まで移動させます。

写真は11月18日のものですが、小屋を解体してから、苗箱の移動、と思っていたら・・・・・・・、 

 

想定外の雪が降りました。11月22日の朝の写真。

さて、どうしようかしらね、コレ。

・・・ゴム手袋やスコップで雪を払い落として、いくらか日が昇るまで待って搬出作業を行うことに。

まずはトラックが入れるような雪かきから。

トラックに載せて運びだします。雪が積もったおかげで、苗箱も重ねやすかったような・・・。

いや、寒くて、指先冷たくて、面倒です、ああ面倒・・・。

エスカルプラザの標高から少し下ると、相当雪は少なくなるものです。

苗箱を、種類や日当たり等から管理しやすいように並び替えていきます。

このまま春になって雪が溶けるまで安置。来年ふたたび伸びてくるのが楽しみです。

あれだけたくさんあった植物も全て撤去し、ガランとした感じに。

暖かい場所だったら、こんな植物の大移動をすることも無く、年中置きっぱなしなのでしょうが、

雪に備えるからこそ、あらためて見直したり、整理したりする良い機会になります。

そしてその分、春が待ち遠しくなるような。

メリハリつくのは良いですね。やっぱり面倒ですが・・・。