緑の調律日誌

緑の調律日誌

開園一週間前の園内は

2011/06/08

さて、開園まであと一週間となりました!

園内はこんな様子。雪はすっかり溶けました。(残っているところもあります!)

今日の作業は、自然遊歩道のロープ杭立てです。冬にゲレンデとなる場所の遊歩道、道沿いに倒していた杭とロープを立てていきます。

雪解けのこの時期におすすめなのは、雪解けすぐに咲くブナ林の植物です!

シラネアオイ、ツバメオモト、トガクシショウマ、サンカヨウなど色々と咲いています。

ブナ林から一歩出た高山植物園では、チョウノスケソウ、ウルップソウ、ハクサンイチゲなどが咲き始めています!

これらの植物は本格的な夏の7月頃にはほとんど咲き終わってしまうもの。6月の開園すぐがおすすめです!

コマクサも咲き始めました!ロックガーデンの山頂部分は一番雪が薄く、コマクサの開花も早いものです。

足元を見ると発芽したてのコマクサも数多くみられます。写真をクリックして拡大すると、黒い種のカラをかぶったままの芽生え、見えますか?

高山植物園を抜け、自然遊歩道へ。

アルプス展望リフトの降り場のステージ板張替えが進んでいます!

このリフト降り場、写真の左側が黄色くなっているのがわかりますか?

キジムシロが一面に咲いています。

遠くに見える小遠見山への森の中にはまだまだ残雪があるようです。

湿原の方に入ると、まだまだ雪が残っています。歩道部分は開園時には溶けてますかね。

そしてこのあたりでは、こんな時期にカタクリの花がまだ咲いています。雪が溶けた場所から順に咲いていきます。

サクラと同じ頃に咲くもので、東京や神奈川では3月の花、白馬の山麓でも5月最初の花ですが、この場所では今咲いているわけです!

ミズバショウやザゼンソウも良い感じに咲いています。開園時にもまだまだ咲いているはず!

地蔵の沼の周りもミズバショウに囲まれています。

・・・ところで気がつきましたか?この写真、上下が逆です(笑

沼の底が黒く、鏡のように綺麗に空も花も映ります。

コイワカガミ、ハルリンドウといった花も足元にちょくちょくと咲いています。

人知れず、さりげなく咲くマルバマンサク。葉が生い茂る前に花をたくさん咲かせます。こういったものを見られるのも、この6月ならではの景色です。

 

最後に・・・

何か泣き声がするので、水路をそっと覗いてみると・・・

ヒキガエルでした。繁殖のこの時期、あちこちに卵がみられます。

 

いよいよ、6月16日の開園が迫ってきました!

残雪消えて間もない園内の花と山の空気を楽しみに、ぜひお越しください!

春の植物のゆくえ

2011/06/03

白馬五竜高山植物園の山麓にある、五竜かたくり苑。

三週間前の満開時には斜面一面を紫色にするほどでした。

 

さて、今はどうなっているのか。

2011年6月3日

あたりは背丈の高い草で覆われています。

これらの草が伸びる前に真っ先にカタクリなどの春の植物は花を咲かせるわけですね。

そのカタクリは、今はこんな感じで。

葉っぱは、まさに溶けるといった表現が適切なように、薄く透けるくらいになっています。

花茎と果実だけはしっかりとしていて、種はこれから熟す時期です。

わずか一ヶ月くらいの短い期間しかみられない春の植物たちも、そろそろ種を作り、次の春まで一年近い休眠へと入ります。

 

さて、夏が始まりますね。

葉の先から

2011/06/03

夕方に植物に水をやろうとして気づいたこと。

コマクサの芽生えですが、葉の先端からきれいに水滴が出てきています。

どうも例外無く全ての葉から出ているようで。

葉が一枚の芽生えだけでなく、成長してきたコマクサの葉っぱも同様でした。

 

この日の天気は、雨のち晴れ。屋根つきの場所なので雨粒が当たったわけではなく。

時間や湿度、天気などと関係して、どんな時にこうなるのか・・・。小学校の自由研究とかだったら面白いテーマなのかもしれません。会社の人のお子さんに調べてもらおうかしら・・・。

ちなみに気がつけば部屋の中で育てているヒメウラシマソウも同じように分かれた葉の先端から水滴がついていたりします。

毎日の水やりも、こういう何かを探しながらやると面白いのかもしれません。

ビジターセンターもう一つ

2011/06/01

最近までカタクリが咲いていたような気もしますが、だんだん春らしさが無くなり、気がつけば6月になってしまいました。

白馬五竜高山植物園には、建物内にビジターセンターを設置してあります。四季の写真や植物のことなどを展示しています。

 

白馬五竜のベースセンター、エスカルプラザ。実はここに、もう一つビジターセンターを設置することになりました。

冬の間、スポーツショップがあった場所ですが、この何も無い場所に、あらゆる情報を展示しようというわけです。

植物園に行く前に、行った後に、より良く園内を知ることの出来る場所になればと思っています。

 

さて、開園まであと半月。

日ごろの植物管理から園内の管理、二か所のビジターセンター設置など、あらゆる準備に大忙しです。。。。

現在の花は?

2011/05/25

現在は閉園中の白馬五竜高山植物園。

積雪がまだ多いことと、リフトやゴンドラの整備点検の時期であることから閉園中です。(開園は6月16日から)

多いところでは1m近く積雪がある園内。今日は修学旅行の学生で賑わいました。

雪合戦をしたり、ビニール袋で滑ったりする無邪気な姿は、…どこか遠くに忘れたものを思い出すようです……。

こちらは夏に青いケシの咲いた外国産ロックガーデン。まだ雪が残っています。

しかし、北アルプスのロックガーデンは雪解けが早いもので、ハクサンイチゲが咲いていました!

雪解けの早い場所から咲き、雪解けの遅い場所でも6月中には咲ききってしまう高山植物らしい高山植物です。

コマクサではつぼみがわかるものもありました。大半は芽を出したばかりですが、早いものでは6月から花が咲いていきます。

クロユリ(上)やウルップソウ(下)はつぼみが見られました。園内での開花が多いのは7月ですが、これらの植物は6月中が一番きれいなものです。6月ならではの花を見たい方は是非6月にご来園を!

植物園の上部では、自生のヒメイチゲが咲いていました。

キンポウゲ科のイチリンソウ属で一番小さいものです。大きさは指先よりはるかに小さいくらい。

イチリンソウ属、といってもピンと来ないので、ハクサンイチゲ、キクザキイチゲ、ニリンソウの仲間、と言えばわかるような気がします。

歩道の真ん中ではヤナギランが生えてきていました。7月末?8月の花ですが、今から咲くのが楽しみです。

 

今回紹介した花を見るには6月の開園すぐに来ればおよそ見られたりします。

7月に咲いている場合もあるのですが、咲き終わりの状態だったりします。

しかし、一番きれいな時期にピタリと来るのはなかなか難しいものです

6月16日の開園をどうぞお楽しみに!

5月15日、冬?春営業終了

2011/05/16

白馬五竜スキー場の冬?春営業は、5月15日を持って終了しました。

これから一ヶ月間は整備点検の時期に入り、白馬五竜高山植物園は6月16日からの営業となります。

2011年5月15日の状況です。

最近までスキー場を営業していただけあって、雪はまだたくさんあります。

場所によって積雪は違いますが、多いところで2m近くでしょうか。

一方でロックガーデンの方は風で雪が飛ばされやすいこともあり、ほとんどで雪が溶けています。

場所によって雪解けのスピードが違うのは高山も同じ。高山ではその雪解けの差が、生育する植物、開花時期のバラつきなどを生み出し、多種多様な生態系が作られているものです。

植物園の上部では、ザゼンソウが咲いていました。

茶色いミズバショウの仲間ですが、自分で熱を持つため、周りの雪が溶けています。

場所によってはフキノトウがたくさん出ています。

山菜として有名で姿はかわいいのですが、キク科の植物だけに成長すると綿毛を飛ばし、あちこちに生えてきます。

そうすると雑草として抜き取ったりしないといけないのですが・・・、この時期に取っておけば、増えすぎるのを多少は抑えられる!ということでフキノトウを採り、油で揚げて処理してしまいました(笑

残雪の北アルプスを望む園内にて、雑草駆除を兼ねフキノトウを採り、レストランで天ぷらやそばを楽しむエコツアーなども企画出来るような気がします。

白馬五竜高山植物園の営業は6月16日からになります。

営業開始すぐにはチングルマやシラネアオイといった雪解け後すぐに咲く植物が綺麗に見られるはずです!

初夏の白馬にもぜひお越しください!

白いカタクリ n万分の2の確率

2011/05/11

白馬五竜かたくり苑が最盛期を迎えています。

今年は雪解けが遅く例年より遅れたものです。

2009年は4月28日ごろ、

2010年は5月5日ごろ、

2011年は5月8日ごろ、が満開でした。

写真は2011年5月8日撮影 遠くでも一面のむらさき色が見えます。

たった数日、されど数日、カタクリの花は、一日に全体の一割近く推移するので、一週間のズレは5割以上のカタクリが有るか無いかの差になるわけです。

例えば、2009年に4月の終わりが綺麗だったから、今年もそうかしら、と同じ時期に来た人は全然咲いていないカタクリを見たことでしょう。

 

一面に咲く、五竜かたくり苑のカタクリ。

こういう場所で、むらさき色のカタクリを、じっっくり目を凝らしてみると、

白いカタクリが見つかるかもしれません!

五竜かたくり苑では、今年は2株見つけることができました。

野生のカタクリの白花は非常に珍しいといわれています。

何万分の一かで出るようですが、五竜のかたくり苑は一体何株あるのやら。

10万株ともいわれますが、近隣の森の下にもかなりのカタクリがあるので、それらも合わせれば、かなりの低い確率といえるでしょう。

もっとも森の中だと白いカタクリを探すのも大変でしょうが・・・。

白いカタクリがあると知らずに見つけるのは至難の業でしょうが、

あると思って探せば、目を凝らして頑張って見つけられるかもしれません。

白いカタクリは昨年と同じ位置で今年も咲いていました。

カタクリの花には周期があるようで、今年咲いたものが来年も咲くとは限りませんが、それでも来年にも咲いている可能性は大です。

今年新たに見つけた白いカタクリは、去年には咲いていなかったわけで、来年には別の新しい白いカタクリが咲く可能性も十分にあります!

まだ見ごろのカタクリを見に来るも良し。

来年に来られる方は白いのを見つけてやるぞ!という目標を持って来るのも面白いかもしれません。

植物を見ることには色んな楽しみ方があると思います。

ところで、先の写真の一日前ではこんな様子。

他のカタクリは咲いているのに、白だけまだ…。

一日早い、遅いだけでベストな時期を逃してしまうカタクリ。

良い開花時期、天気、時間、そういったものをうまく合わせられるのは、運頼みです!

カタクリ咲きました!

2011/05/01

カタクリの花をご存じでしょうか?

カタクリと聞いて思い浮かべるのは「カタクリ粉」

今ではジャガイモのデンプンをカタクリ粉と呼んでいますが、昔はこのカタクリからカタクリ粉を作ったそうです!

 

白馬五竜高山植物園の山麓、エスカルプラザから歩いて10分くらいのところに、カタクリの大群生地「五竜かたくり苑」があります。

写真は以前の満開の時の様子です。

白馬村の村花にもなっているカタクリを楽しみにぜひ来てください!

さて、今年の見ごろはいつか?

今年は例年より雪の多かった昨年よりも雪解けが遅く、カタクリの満開時期予測が難しいものです。

(2009年の見ごろは4月29日ごろ、2010年の見ごろは5月5日ごろ)

今年は連休の終わりごろ、5月5日ごろか、それを超えるくらいでしょう。

現在の開花は、一割程度です。

写真は2011年4月30日のもの。

カタクリも4月の終わりごろから咲き始めましたが、大半はつぼみです。

これからどんどん咲いてきて、連休の終わりごろに一番の見ごろを迎えるでしょう!

カタクリだけでなく、ニリンソウ、キクザキイチゲ、ハルリンドウなどのこの時期ならではの植物も周辺には多くみられるので、それもまたおすすめです。

 

5月3日にはカタクリ祭りも行われます。

詳細は以下のホームページをご覧下さい。

http://www.hakubagoryu.com/katakuri/index.html

 

ちなみにカタクリが満開のころは合わせて桜も満開になります。

一足遅い、五月の桜の花見と合わせて、白馬村まで春の花を楽しみに起こし下さい!

フクジュソウ 姫川源流、親海湿原

2011/04/22

フクジュソウという花をご存じでしょうか。

漢字では福寿草、名前も縁起が良く、春先に真っ先に咲く植物で、小鉢にしたものが冬の終わり頃にあちこちで売られているのを見かけます。

白馬五竜高山植物園から車で5分、フクジュソウを始め、多くの春植物がみられることで有名な『姫川源流自然探勝園』。

フクジュソウの花が見ごろを迎えています!?

昨日、2011年4月21日の夕方です。今年は残雪が多く (残雪が多かった昨年より多い!)、例年よりあらゆる植物の開花が遅れています。

しかし、フクジュソウは雪解け後の開花が非常に早く、雪解けと同じタイミングでつぼみが顔を出してきます!

雪国でない場所では、フクジュソウは一斉に咲きだすのですが、白馬のような雪国では雪が解けた場所から順に咲いていきます。

全てが一斉に咲く姿は見られなくとも、開花期の限られるフクジュソウが長い期間に渡って新鮮な姿が見られることになります!

先ほど見ごろを迎えた!?と表記したのも、そんな訳でして。

撮影:2011年4月21日

フクジュソウは日中に花を開くのですが、夕方には閉じてしまいます。

撮影:2010年4月30日

昨年の同じ場所の写真ですが、晴れた日中にはこんな感じにみられるわけですね!

2011年4月21日

2010年4月18日

2010年4月30日

写真3枚は同じ場所になります。

昨日の時点ではほとんど咲いていないような場所でも、瞬く間にフクジュソウいっぱいになることでしょう!

来週からの連休中を通して見ごろかと思います!ぜひお越しください!

それにしても、昨年と雪の溶け方が正反対、何故でしょうか・・・。

 

最後にひとつ、知られざる名所をひとつ。

違和感、わかりますか?

名物、浮いてる木です!

寄り添って育った木が上部で癒着して、歩道敷設の際に根本が邪魔だから切ったけど、本体はくっついたまま、というわけです。

右の切られた幹には栄養、水分が左の木からきているようで、葉っぱも生えてきます!

フクジュソウを見なれてしまった方、野の花に面白みを感じられない方々でも、こっちのは感動するはずです!(笑

NHKみんなの趣味の園芸

2011/04/19

NHKみんなの趣味の園芸、というサイトをご存知でしょうか?

園芸を生業とする人、植物園の人だけでなく、園芸好きの人は誰でも参加でき、開花や栽培などの情報交換をしているサイトです。

http://www.shuminoengei.jp/

今回から白馬五竜高山植物園も、植物園サイドとして参加させて頂くことになりました。

 

字数、写真制限の無いブログではあらゆるジャンルの記述をしていますが、

こちらの園芸サイトでは短い記述が向いているため、こまめに開花情報等を流す形になります。どうぞ合わせてご覧ください!