緑の調律日誌

緑の調律日誌

雪に埋める植物たち

2010/11/20

本日11月20日からテレキャビンの営業が再開しました!

写真は11月16日のものですが、最近の暖かさで木々の雪は溶けています。

残念ながらスキーをするには雪が足りていませんが、今日は登山や景色を見に来られる方をたくさん見かけました。

最近は夜が寒く、育苗箱の土も霜柱が立つほどです。

山麓にも雪が積もるのも時間の問題なのかもしれません。

ところで、育苗施設のある場所の周辺は除雪のための雪上車が入ったりするため、育てている植物を移動しなければなりません。

軽トラに植物を積み込み、エスカルプラザの周囲をはじめ、静かに雪に埋めておける場所に運んでいきます。

何往復になるやら、大変だ。

 

エスカルプラザは来週からの開館です。

会社全体はスキー場仕事で「冬を始める準備」に大忙しですが、

植物園の場合は「夏を終える準備」に大忙しとなっております。

冬の準備を進めます

2010/11/14

標高1500mの園内は雪に包まれています。まだ雪の量はスキーには足りないものの、湿った雪が10cmくらいつもっているところです。

山麓にある育苗施設では、植物の移植や整理などを進めています。写真は園内から間引きしたニッコウキスゲですが、葉は枯れてしまっているものの、奥には来年度の新芽が形成されていて、植物の強さを感じられるようです。

ポットで育てている苗も紅葉していたり、冬が来ることを予感します。

一方で、健全な緑色をしているものもあり、植物によるその違いを見るのも面白いものです。

こちらは種から育てているヒマラヤの青いケシですが、無事に冬越しして来年か再来年に花を咲かせてくれるかどうか不安もありつつ、やはり期待のが大きく、楽しみでもあります。

天気を見ながら、採集していた種子の整理、精製も行ったりします。

種の入ったサヤからどのように効果的に種を取り出すか。

ハサミでサヤを切り分ける、丁寧に手で剥いていく、サヤごとつぶしたあとフルイにかける、方法は様々です。

100円のザルや茶漉しを、種の形や大きさに応じてどう使えば効果的か、フルイの中に残すか、フルイから落としていくのか、それらを種類に応じて考えて変える様はパズルのようでもあります。

余計なものを取り除いた種を種類ごとに袋にわけ保管します。

先ほど、精製過程がパズルのようだ、と言いましたが、実は条件が難しいのはこれからでもあります。

すぐに播くべきか、春に播くべきか、どんな土に播くべきか、乾燥で保存するか、湿潤で保存するか、途中で切り替えるのか、種のカラを割ってから播くのか、薬品を使用するべきか、など発芽に適した組み合わせは無数にあるようです。

もっとも、種子ひとつひとつの生命力も違い、採取時期なども含めて同じ条件で試すのも難しいもので、本を見つつ、人に聞きつつ、試行錯誤しつつ、正解に近いだろう方法を種類ごとに探していくことになります。面白いものです。

ゲレンデ周辺で育てているカブトムシの状況を見てみました。

オガクズを積み重ねて置いておいただけですが、どこからかやってきたカブトムシが卵を産んでくれていたようで、大きく育った幼虫が出てきました。このまま放って様子を見るか、一部を建物内に持って来て育てるか、色々な方法があります。

 

来週、11月20日からは冬のスキー場営業が開始します(雪が降っていなくてもテレキャビンは営業します)。

植物園やカブトムシ、冬の営業を始める前の、夏の仕事を終える準備がまだまだ続きそうです。

植物園、終了してからは

2010/11/09

11月3日に本年度の夏期営業は終了しました。

正直、今年の秋は天気の良い日が少なかったものの、営業が終了した途端に天気が良くなり、五竜岳を始め、周辺の北アルプスが雪で白くなっている様子が綺麗に見えたりします。

ゲレンデとなる園内の設置物を撤去しなければなりません。重たい園内看板等は数人がかりで移動し、テレキャビン駅舎の下に格納したりと、次の夏が来るのを待つことになります。

標高1500mの園内は天候が変わりやすいこともあってか、天気雨が降ったりすることもあり、虹を見かける確立が格段に高いように思えます。この日は雪まじりの雨が降り、絵に描いたようなアーチ型の虹が見事に見えました。

園内はブナの葉も落ち、冬の景色が広がっていますが、白馬周辺の山麓では今が紅葉の見頃を迎えています。写真は白馬村より南にある青木湖ですが、周辺の紅葉のバックには北アルプスの雪山が見えたりしています。

そして今日の園内は雪が降りました。

午前中は晴れだったものの、午後には吹雪ともなり、みるみる雪が積もっていきました。

もうこの標高では「雨」が降ることはしばらく無さそうです。

夏の間はビジターセンターとして親しまれたこの空間ですが、冬には暖房を効かせた休憩室になります。

その為に全ての展示を外すことになります。

夏が植物園であることの紹介、冬の見どころなどの展示なども行いますが、一度部屋と頭の中をまっさらにするわけです。

さて、この冬はどんな展示を作ろうか、そして来年はどのような空間を作ろうか、それらを考えながら冬の準備、夏の準備は繰り返し続いていきます。

11月3日 営業終了!

2010/11/03

本日、11月3日を持って、夏のテレキャビン営業が終了しました。

つまりは、植物園の営業も本日で終了になりました!

園内にお越しになられた方々、ありがとうございました!

昨日に雪が降ったようで、だいぶ周りの木に雪が積もっています。

この分では、園内にはどれだけ雪が積もっているのやら。

結構な量が積もっていました。10cmくらいでしょうか。

実はこの日の午前中は曇り、強風。

午後になると写真のように青空も見え、最終営業日にふさわしい天気になりました!

青いケシの他、外国産の高山植物エリアもすっかり雪に埋まっています。

もっとも、これらの段差が埋まるくらいに雪が積もらないと、スキー場として機能しないわけですが。

今日の仕事は園内の植物看板の撤去。

もう少し早くやりたかったのですが、今日にここまで雪が積もるとは…誤算です。

たぶん、回収しきれなかった看板も埋まっていることでしょう…。

もう一つ、重要な作業が園内の鉄杭、ロープを撤去すること。

撤去、とはいっても膨大な量の杭、ロープは一人では作業しきれないもので、

一番効率の良い方法が杭を抜いてその場に倒しておくこと。

スキーの邪魔にもならず、来年はすぐに立てられるというわけです。

それにしてもラッセルしながら、何度も道を往復して、地面に刺さった杭を一つずつ抜くのも大変なものです。雪さえ無ければ…。それでも良い運動にはなるものです。

 

園内を作業している途中に話した方はこんな事を言っていました。

「昼まで犬の散歩をしていたが、雪山が気になって来てしまった。

スキーのシーズンが来るのが楽しみで、ここで冬の気分に浸ることが出来る」

月末にはスキーシーズンが到来、早いものです!

 

植物園の営業は終了したものの、まだ園内の片づけ作業、育てている植物の冬越し準備など作業はまだまだ続きます。

と、いうことでもう少しこのブログも続きます。

気になる方はチェックしてみてください。

11月の景色は

2010/11/02

昨日は雪がまた降ったようです。そして朝は最高の天気でした!

アサギリソウの葉が白くなり、雪に埋もれていました。

なんだか樹氷の模型を見ているようです!

山頂から山麓へと降りるゲレンデ斜面。夏にはシモツケソウが一面を赤に染めていました。

積雪次第では、一ヵ月後には賑わうゲレンデになると考えると不思議なものです。

地蔵のケルンまで登ると、五竜岳が見えました。武田菱の雪形もはっきりと形が見えます。

夏の花々の時期は終わり、一面が雪に埋まる冬がまたやって来るようです。

晴れの間にアルプス平自然遊歩道をまわり、道案内看板や歩道ロープなどを回収していきます。

この場所に設置されていた「幸せの鐘、出張版(仮名称)」も雪に埋まる前に回収します。

この鐘、夏には多くの方が鳴らしますが、気づかずとも確実に幸せが訪れる効果があるものです。

それは、クマが寄り付かないという意味でね(笑

熱心な若者たち

2010/10/29

10月26、27日と雪が降り、園内にもうっすらと積もりました(写真は10月27日)。

10月28日には雪ではなく雨が降り、園内の雪が溶けました。

 

実は数日前に、長野県内にある南安曇農業高校が実習で増やした植物を植えたいとの連絡があったのですが、まさかここまで雪が降るとは思っていなかったのです。

しかし、幸か不幸か、植えられる程度に雨が降り、3人の生徒と先生が園内を訪れました。

今回植える植物はコオニユリ。

組織培養の実習で増やしたものらしく、50球を持ってきたとのことです。

雨が降る中、コオニユリの球根を植えていきます。

いわゆるバイオテクノロジーで増やした植物がここに植えられている。実に興味深いことです。

球根のかけらがあれば、数多く増やせるらしいですが、不思議なものです。

ところで改めて納得したのが、バイオで増やした植物であっても、その後に花を咲かせられるかは結局は地道は園芸技術でしかないと。

なるほど、貴重な植物をバイオで大量に増やしても、それを根付かせ花や種をつけるためには、科学よりも経験と愛情が多分に必要なようです。

 

寒い中で植栽も終わり、暖房の効いたビジターセンターにて、色々と話をしました。

こういう経験をした生徒さんがどんな仕事について活躍されるか楽しみです。

 

面白い偶然があり、今回同行された先生の生徒さんのうち、何と3人も私の知人でした!

彼らは、一人は現役の信大生、二人は農業高校の先生をやっていますが、なるほど、こういう進路になるわけか!

 

熱心な若者たちを見て、「25歳の若者」である自分自身も改めて頑張ろうという気持ちにもなったりします。

三段紅葉!!?

2010/10/27

来た、来た、来ました、三段紅葉!

大自然が奏でる北アルプスの三重奏!!

絶対零度の気温すら、心地がいい!!!

(フルタチイチロウ的なノリでお願い致します)

昨日の雪が積もったようで、園内一面が白くなっています。

気温はゼロ、積雪は2cmといったところでしょうか(先ほどの『絶対零度』はあくまでも表現上のものであります)。

マツムシソウ、ワレモコウなど最後まで咲いている花も雪をかぶってしまっています。

ところで、キアゲハの幼虫くんは…?

シシウドの先で凍っているのをみかけました…。キアゲハはサナギで冬を越すらしいですが、大丈夫なのか?

まわりにはたくさんの幼虫をみかけます。とりあえず2匹ほど持ち帰って様子を見ることにしました。

本来、一番キレイな三段紅葉は3000m級の北アルプスのてっぺんに雪がかぶるもので、園内一面が白くならなくても良いのですが…。

今日はテレキャビンに乗るとあるラインから上が雪をかぶっている様子がみられます。

この先の寒波の時期、晴れがどう来るかが良い景色のポイントになるでしょう。

晴れと霧とを交互に繰り返したり、運も大きなタイミング。

防寒対策を十分にして訪れてみてください!

初雪が降りました!

2010/10/26

夏の営業は11月3日まで、秋の花もほとんどが咲き終わりました。

本日の仕事はアルプス平自然遊歩道に設置した植物看板回収。日をあらためて、この鐘も雪の前に撤去しなければなりません。

ところで、天気予報でも耳にするのが、どうも今日から寒波が来るらしいとのこと。

昼前の園内では小雨でしたが、地蔵のケルンあたりで小雨が雪に変わりました!!

園内広場まで来ると、ひとまず雪も少なくなってきたので、肥料撒きや植物の植栽を始めましたが・・・、なんと吹雪いてきました!

積もるような雪質では無いものの、強い風と細かい雪が吹きつけます。

シシウドの芽生えをキアゲハの幼虫が食べていましたが、そこの君、そろそろ冬の準備しないと大変ではないかい?

外気温を見ると、午後3時半の時点で2℃!

11時ころでは5℃だったわけで、日中にも関わらずみるみる気温が下がっているようです。

テレキャビンで下山すると、なんと暖かいことか!(それでも5℃くらいのようですが

コンクリートの路面も乾いています。

山の方を見上げると分厚い雲。

…つまりはあの中は雪というわけですね。標高も1000mを超えるとだいぶ違うようです。

園内の雪はまだ積もっていませんが、明日はどうなっているか予測がつきません。

どうなるのか楽しみでもありつつ、今積もってしまうと、園内の看板類の撤去やらが困難になる…。複雑です。

 

この写真は2007年10月22日のものです。

三段紅葉、というのをご存知でしょうか?

紅葉の季節に山頂に雪が降り、紅葉、山麓の緑と見えるものです。

この寒波が去った後、果たしてこのようになるのか…!?

皆様、カメラの準備をして、どうぞお待ちくださいませ。

冬の準備 リフト上げ下げ

2010/10/24

園内の紅葉も秋深まり、テレキャビンまわりの紅葉のいい感じになってきています。

 

夏の間に「アルプス展望リフト」の名で親しまれている二人乗りのリフト。

低速で、足元スレスレで植物を眺めることが出来ます。

足元スレスレ・・・、スキー用リフトなのにどうして?

冬には雪が3メートル積もった上で、リフトの真下を滑ることが出来るわけですが、つまりは夏の間はリフトの高さを下げているわけです。

ということで、冬が来る前に滑車(『索輪』と言います)の高さを上げる作業を行うわけです。

写真奥の支柱では滑車は一番上ですが、作業中のものはだいたい真ん中です。

ボルトをゆるめ、ワイヤーで吊り上げ、重機で引っ張るわけですね。

振り返るとこれから作業をする支柱がまだまだ続きます。

15本の支柱全てを作業するわけですから、大変な作業になります。

この日は作業中にニホンカモシカが間近に現れました。

写真の上司が近づくとダッシュで逃げてしまいましたが、作業を再開するとまた近くに戻ってきたりと。

かの上司は嫌われたのやら好かれたのやら・・・(笑

園内に何となく現れるカモシカの動向は面白いものです。

きのこ

2010/10/20

園内周辺はブナ林が広がり、秋の紅葉とともにキノコも見られたりします。

こちらはブナの木に育っていたナラタケです。地元では「もとあし」の名で通っているようです。

・・・ところで、最近毒キノコの話題も多く聞きます。

このキノコは毒ではないですが、

園内を訪れたお客様が毒キノコと怖がってしまったらたいへん!

キノコが腐って目もあてられない姿になったらたいへん!

ブナの木がキノコで、もろくなって倒れたりしたらたいへん!

そう、何かと責任問題が問われてしまうこのご時勢、何かあるとたいへんです。

だから私は、園内のみえるところ、みえないところのキノコを集めました。

たいへんな事が起きてしまう前に、園内のキケン(かもしれない)を除去するのです。

そして、毒キノコではないと証明するために、食してみるのです。

十分に煮沸した上で、ミソとヤサイと、トリニクも入れました。

その晩には友人が家に来ていました。

もし、もしも毒キノコだった場合、一人では対処しきれないので友人も同席の上で毒見をするのです。

・・・・・・。

秋の恵みに感謝!

 

※ちなみに春先には、ササの過剰な繁茂を防ぐ目的でササの若い芽生えを除去しています。こちらは世間様では『ネマガリタケ』と呼ばれているらしいですが。