緑の調律日誌

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FM長野 Oasis 79.7 秋の美味しいピクニック in 白馬五竜

2010/10/18

10月16日、FM長野さんの『Oasis 79.7 秋の美味しいピクニック in 白馬五竜』というイベントが行われました!

長野県内の皆さまご存じアナウンサーの伊織智佳子さんと一緒にリスナー100人の方が、秋の植物園、自然遊歩道をトレッキングしました。

私を含め4人の社員がガイドにあたり、25人ずつのグループにわかれ、園内の散策を行います。

園内の天気と紅葉具合は…、

最高です!青空をバックに山頂駅の方までしっかりと見え、山麓から紅葉が移り変わる姿がよくわかります!

今回は植物園、地蔵の頭からさらに足を伸ばし、小遠見山手前の見返り坂まで登りました。

ここまで登ると地蔵の頭を見下ろすことが出来、達成感は十分です!

トレッキングのあとは、エスカルプラザのレストランにて、旬のそばやガレットを味わいました。

ガレットとは、そばのクレープですが今回は秋の木イチゴで味付けをしたものでした。

さて、最近の紅葉ですが、

小遠見山、だいぶ落ちています。

地蔵の頭、見ごろ後半、上の写真のようなカエデもまだ見られます。

園内周辺、ブナの木が一番の見ごろを迎えています!

テレキャビン周辺、山麓から上がると上半分が見ごろを迎えています!

白馬山麓、山麓の紅葉はまだのようです。

園内の片付け 池の掃除

2010/10/14

園内の営業も残すところあと半月となりました(11月3日まで)。

園内のロックガーデンには人工の池があるのですが、夏の間に土砂が流れ込んでしまうため、秋のこの頃には土砂をすくい出す作業を行います。

水路周りや周辺からの土砂が入るわけですが、例年流れ込む土砂は少なくなってきてはいます。

それでも一日作業になるわけですが、あと何年かして周りが安定してきたら、作業労力も減ることでしょう。池の周りに植物を今以上に増やすことも必要になるかもしれません。

 

ところで、小さな花を見つけました!

初夏に咲くミヤマアズマギクですが、指先一つで咲いています。

これを人工的に咲かせられたら面白い、などと思いつつも、自然の面白さを目の当たりにするようです。

 

テレキャビンから見える木々も、紅葉が進んできました!(写真は10月14 日)

植物園内から地蔵の頭にかけては紅葉の最盛期を迎えています。

テレキャビン周辺の紅葉はあと一息で最盛期です。

毎日山麓からテレキャビンで山の上へ上がるわけですが、毎日のように景色が変化していくのには驚かされます。

こちらの写真はチングルマの紅葉です。

ブナやカエデだけではなく、高山植物の葉も紅葉するのが面白いところです。

週末にはかなりの紅葉が見られるかと思います。

晴れを祈りつつ、皆様をお待ちしております!

紅葉を見に行こうよう!

2010/10/08

アルプス平自然遊歩道の紅葉が見頃を迎えました!

写真は本日10月8日の様子です。

このあたりはブナの木が多く、葉が黄色に染まるのが普通です。

アルプス平自然遊歩道では特殊な地質のため、樹木の高さが低く多くの種類の樹木が見られ、赤い色ではナナカマド、ドウダンツツジ類、カエデ類などがあり、黄色ではミネカエデ、ミヤマナラ、マルバマンサクなど実に鮮やかです。

なかには、こんな黄葉もみられます。

野生のギボウシですが、葉が飴色になり、濡れて透けたようになっています。

あんなに濃い緑色だった葉が、なぜこんなに透けるまでになるのか、不思議です。

食べられる有名なキノコは人目につきやすいところでは見かけませんが、これはホコリタケでしょうか。

秋の道には目をこらすと、色々と面白いものがあったりします。

こちらはコマクサです。まだ咲いています!

コマクサの花には期待をせずにお出かけください。期待以上のものが見られるかもしれません!

こちらは、ゲンチアナ・ファーレリー。

こういった外国のリンドウなども見かけることが出来ます。

 

この時期の白馬、山麓での紅葉はまだですが、ゴンドラなどで山に上がるときれいな紅葉を見ることが出来ます。

秋の訪れを感じたい方、今の時期はおすすめです!

気になる紅葉は?

2010/10/05

今の白馬は紅葉真っ盛り!!ブナやカエデが見頃です!

・・・というには、まだ早いです。正直なところ。

では、今の園内はどれくらいなものか。

地蔵のケルン周辺はこれくらいになってきています。

黄色く見えるのはミヤマナラ、ドウダンツツジの仲間も赤く染まり始めています。

こちらはオオカメノキ。長野県内のトレッキングではあちこちで見かける樹木です。

ブナやカエデはもちろんですが、数多くの野生の樹木の紅葉、黄葉が園内周辺ではみられます。

こちらの写真は、本日5日のテレキャビン周辺の状況です。

周りはブナの木が多い広葉樹の森ですが、これが見事に色づきます。

今ではブナの先端が黄色く色づいてきています。

https://www.hakubaescal.com/green/index.html

上のアドレスは白馬五竜のトップページですが、最盛期の様子がスライドでご覧いただけます。

10月9?11日の紅葉イベントの記事もご覧ください。

 

で、紅葉の見頃はいつ頃か?

一週間くらい後が最適ではないでしょうか。

園内の上部の地蔵の頭、小遠見山などはだいぶいい感じになってきてます。

テレキャビンまわりが色づくにはやや時間がかかりそうです。

週末を過ぎるあたりから本格的な紅葉シーズンですが、テレキャビンの高低差が700mはあるので、どこかしらでは見頃な紅葉を見ることが出来ます。

そろそろ秋の風が冷たくなってきました。お出かけの際は寒さ対策にご注意くださいませ。

共通点、尾瀬の至仏山と白馬五竜

2010/09/30

夏が来れば思い出す、遥かな尾瀬、

尾瀬と言えば名前を知らない人はほとんど無く、湿原が有名な場所でもあります。

そして、湿原に隣接する百名山の2228m至仏山(しぶつさん)も知る人ぞ知る有名な高山植物の山でもあります。

至仏山の中腹からの景色です。

正面には尾瀬ヶ原と燧ケ岳(ひうちがたけ)が広がります。

ところで、この至仏山ですが、白馬五竜高山植物園の上部に整備されている歩道、地蔵の頭を中心とするアルプス平自然遊歩道と一つ、大きな共通点があります。

これは登山道の光景ですが、アルプス平自然遊歩道を訪れたことのある方、なんとなく岩の雰囲気が地蔵の頭に似ていると思いませんか?

これは超塩基性岩の「蛇紋岩」という岩石になります。

そして、この岩の特徴は『植物の生育には適さない』、というもの。そのため、高い木が生えにくくなり、蛇紋岩地域での生育が可能な植物や、高い標高でないと見られない背丈の低い高山植物がみられるようになります。

この特徴は地蔵の頭でも同じであり、ミヤマナラを中心として本来の標高には見られない植物が出現するのが共通しています。

 

ところでこの蛇紋岩、滑りやすい石としても有名です。

至仏山の登山道では蛇紋岩の上を歩く箇所が多く、水も良く染み出ていて滑りやすくもあります。

また最近では、下りでは転びやすい事、植生保護のため、尾瀬ヶ原側の斜面は上り専用にもなっています。

※アルプス平自然遊歩道では滑りやすい箇所はほとんど無いです

※上記の「正しいすべり方」は、山の鼻ビジターセンターの展示物です。滑りやすさと安全喚起を促すものです、念のため。

 

尾瀬の山に似た特徴が園内にもある、そう考えると至仏山が身近にも思えてくるようです。

高い木が無く、紅葉がきれいな低木も多くなるのも特徴的あり、これからの秋が楽しみでもあります。

晴れ+山が見える!

2010/09/25

今日(25日)は最高の快晴でした!

テレキャビンで上がった園内からは標高3000m級の北アルプスが一望出来ます。

AM8:00の園内の様子。写真左の山は白馬三山です(左から白馬鑓ヶ岳、杓子岳、白馬岳)。

視線を左に移すと北アルプスの山並みが続いています(写真左が五竜岳)。

 

山頂付近の白い岩肌と木々の濃い緑のコントラストが実に鮮やかです!

秋といえど、これくらい晴れる日は珍しいものです。

あたりは冷たい空気が気持ち良くとも寒いわけではない、そんな感じです。

この土日で北アルプスに登る方々は最高だったことでしょう。

夕方5時近くでも、これだけ晴れています。

秋の花は園内や遊歩道にさりげなく咲いています。その分、一面に咲く派手さが無いので遠目には気づきにくいところもあり、だからこそ秋晴れの景色のもとで、この広い空間と合わせて楽しんでいただきたいものです。

明日も晴れでしょうか(追記:『晴れ』と『山が見える』は別モノですが)。

皆様が訪れる日も良い天気であることを願いつつ。

種をまく事

2010/09/24

植物の「種」を一度も目にした事がない人はおそらくいないし、ほとんどの方が種をまいて植物を育てる体験をしたことがあるかと思います。

小学校のころに植物の種をまいた時は、芽が出ると誰しも大なり小なり感動を覚えるものです。

そしてそのトキメキを今も忘れぬまま、いや、更に深めて植物園で育苗を行っています。

昨年から種をまき始め、今ポットの形になっているものは記録しているだけで7815ポットでした。

管理している私の技術も、育てている数も植物園としては小規模ですが、今後も進歩させていきます。

 

ある植物の先生が言ったこと、

「野生の植物が種を落として、それが芽生えて育つ確立なんて何万分の1も無い。きちんとした管理で種をまけばかなりの確立で芽を出させ、育てることが出来る」

なるほど。タンポポもコマクサも、ひとつの花からは相当な数の種が出来ます。しかしそれが「芽生え」、「育ち」、「花を咲かせる」には相当な淘汰を受けることになる。

例えばこの3段階がそれぞれ1/10の確立で次のステップへ行くとしても、1/10×1/10×1/10で1/1000、種1000個あっても一つ咲くかどうか。実際はもっと条件は厳しいでしょう。

 

自身で種を育てると色々なことがわかります。

例えばニッコウキスゲは4月から9月までで、これくらい育つのだなとか、

フシグロセンノウは一年でしっかり花が咲くのだな、とか。

技術書や人から聞いたものであっても、自分の目で実践すると確実に理解でき、野生の植物を見る視点も多角的になってきます。

育苗施設は今のところ一般の方へは非公開です。

しかし、栽培の手順などを踏まえ、植物の成長過程、それらの野生での姿、そういったものを解説したガイドツアーなどもいずれ整えていきたいとは考えています。

育てた苗を種類とタイミングをみて植物園内に植えたりします。

写真では園内のロックガーデンの滝の横に植えているところですが、こういう植栽をする場合、大きすぎる、小さすぎる苗ではうまく小さな隙間に収まらず、自社で育苗していると適切な大きさのものを選択出来るという利点があります。

植えたもの全てが育つとは限らないものの、根付いたものは確実に岩の奥まで根を伸ばすでしょう。

・・・それにしても、手をかけた植物たちが園内とはいえ、朝早く来て水をやり、就業後も気づいたものからポットにわけて、育てていたものが手を離れるのは・・・「貴様に娘はやらん!」というお父さんの気持ちもわかる気がします (私は25歳独身ですが

 

野に咲く花の種が花を咲かせる確立はゼロに近い数。

連綿と続く生命の確率論、それをいかに1に近づけるか。

確かな答えは出ないものの、答えを目指して探究心は続きます。

ちょうちょ

2010/09/19

秋の気配が濃くなってきた園内でも、元気にチョウが飛んでいることがあります。

こちらはアサギマダラです。

アゲハチョウくらいに大きな体ながら、フワフワと飛ぶのでなかなかに目立ちます。

海を渡るチョウとしても知られ、1000km以上も移動することもあるようです!

見つけたのは園内でもリフト乗り場のすぐそばですが、運が良ければリフトに乗りながら見られるかもしれません。

写真のようにヨツバヒヨドリ(もしくはフジバカマ)の蜜を吸っていることが多いです。

コンパクトデジカメで数cmまで近寄って撮ったものですが、ピュアな心持ちで驚かせないように近寄りましょう(笑

こちらはキアゲハです。地蔵の頭で良く飛んでいるのを見かけます。

アゲハチョウはミカン科の植物を、キアゲハはセリ科の植物を食べます。

園内ではシシウドなどを探すと幼虫を見つけることが出来ますが・・・

育苗しているセリ科の植物までも食べてしまいます・・・。

育てている苗は、風通しも良く、同じ植物ばかり並べているので、きわめて親の虫に見つかりやすく放っておくと散々なことになることが多いです。

ガの幼虫など大抵はつぶしてしまいますが・・・、昔からアゲハチョウは良く育てていたため、ドライになりきれず情も移り

「おい、てめえら、あっちのヤブのシシウドでも食ってくれ」ととりあえず移してみます。

ところで、この夏、初めて見たのがコマクサの花をがっつり食べられているところ。

花茎にシャクトリムシが一匹、懸垂するようにぶら下がっています。

シャクに障るとは、こういう事でしょうか(笑

 

話がチョウを見ようから、葉が食われることに逸れてしまいました。

園内では植物の他にヒョウモンチョウの仲間やクジャクチョウなど高原らしいチョウも多く見られたりします。

視点をそちらに移して園内を見るのも楽しいかもしれません。

チョウが蜜を吸うための花と、幼虫が食べるための植物と、両方バランス良く育てたいものです。

ウラ開花情報

2010/09/16

ナントカ心と、秋の空。標高1500mの植物園内は天気がコロコロと変わります。

ここ3日ほど天気が悪い日が続いていますが、写真の日(13日)は、夏のような秋のような空が特徴的でした。

 

秋のサンマのように、旬のもの、季節の花々はその時に感じたいものでもありますが、やはり珍しいものが好きなところは多くの人にあったり、季節でないからこそ見られて良かった、ということもあるものです。

今、園内で咲いている、されど正当な開花情報には載せにくい花を紹介します。

(注意! 「見頃」の花ではなく、咲いていても数株だったりします。確実に見られるわけではなく、場所や状況など問い合わせはご遠慮願います)

ご存知、チングルマです。雪解け後すぐに咲き、園内では6月後半が見頃ですが、園内の2箇所ほどで咲いていました。

こちらはチョウノスケソウです。チングルマと同時期に咲き、種もどこか似ています。開花は1株のみでした。

ハクサンイチゲです。初夏の最初のころに山に登ると白い花が一面に見られたりします。園内では6月末から7月最初に見られる花ですが、どうしてか園内のロックガーデンでは結構な数が咲いていました。

イブキジャコウソウです。ほとんどが種になった中で、ごくたまに花が咲いていたりします。もともと花数が多い花なので、変わり者も毎年出ています。

アオノツガザクラです。雪のたまるような所に見られるツツジの仲間の低木で、園内では7月はじめに咲くものの、数株は毎年この時期に少しだけ花を咲かせています。

アカモノです。7月ころに咲き、夏から秋にかけて赤い実をつけますが、左上にその実が見え、しかし同じ株には花が咲いています。

コマクサです。一番の見ごろは7月ですが、今まで紹介した花とは違い、この花は細々と今まで咲き「続けて」います。

 

これらの花は来週にはどうなっているかは予想がつきません。

そして、最近の雨や低温で勢いが無くなってくるかもしれません。やはり、旬の時期に見るのが一番ですね。

今はリンドウやウメバチソウの類や、マツムシソウ、オミナエシ、ノギクの仲間などが旬です。

週末はイベントも行われます。→https://www.hakubaescal.com/green/event/index.html

けれど、背の高い秋の植物とは視点を変えてみれば、足元には初夏の高山植物がもしかしたら咲いているかもしれず、そして花は無くとも、来年花を咲かせる植物が確実にそこにいるわけです。

花の有無に関わらず植物そのものを見ること、見えにくいものにも目を凝らしてみようとすると、また面白いのかもしれません。

タネを集める

2010/09/10

「ユウスゲ」という花をご存知でしょうか?

ユリの仲間で、ニッコウキスゲに近い種類、と言えばピンと来るかもしれません。

野生ではニッコウキスゲよりも標高の低い場所でみられ、ニッコウキスゲが登山の花なら、ユウスゲは長野県では人里やや高めの場所で咲いています。

漢字では「夕菅」。その名の通り、夕方から朝にかけて咲きます。

…個人的には、ニッコウキスゲよりもユウスゲの方が好きだったりします。ニッコウキスゲよりも背が高く、花の線は細く、色使いもレモンイエローと優しく、どこか女性的なものを感じます。

また、ニッコウキスゲと違ってはっきりとした匂いがあるのが特徴です。

しかし…正直ビミョーな匂い……。花の時期は過ぎているので、来年ぜひご確認を。

 

このユウスゲ、高山植物園内にもみられますが、それよりも山麓のエスカルプラザまわりに多く花を咲かせます。

そしてその種が採りどきでもありました。

果実から黒い種が覗いて見えるものを集めたところ、どんぶり一杯ぶんくらいになりました。

これを自宅でテレビを流しながら、落花生のカラを剥くように延々と種を取りだします。

ところで、気になったのは一つの果実(一つの花)には種がいくつ入っているのか?

健全な果実を10個選んで種の数を数えました。

22、23、28、24、13、28、29、34、17、15、合わせて233個。

果実一個あたりに23.3個の種が入っていました。

一つの茎に花が複数つくもので、例えば一株に5個花が咲き、上手く種が実り育てば、一本のユウスゲから100本のユウスゲが育つのか!

しかし、アブラムシにかかったものは種が一個、0個のものもあるので、世の中上手くはいきません。

米のように研ぎ、米用の計量カップで計ったところ、今回1.5合の種が取れました。

このまま炊飯器で炊いてしまいたい誘惑にかられますが…、なんとかこらえて大事に育てるとしましょう。

 

ちなみに熟していない種がまだ敷地内にたくさんあります。

これらを全てうまく育てれば…、素晴らしい花畑が出来ることでしょう!

ただし、ニッコウキスゲのように自生で群落を作るような種類ではないので、自然に見せつつ、上手く魅せられるような植え方をしたいものです。