緑の調律日誌

緑の調律日誌

ブータンのセミナーに参加して参りました!

2020/06/13

長野県池田町に、日本アルプス国際学院という学校が設立され、海外から多くの方が長野県で学ばれています。

日本アルプス国際学院ホームページ https://j-alps.ac.jp/

6月12日に、セミナー『ブータン国の「幸福とは」を知る』が開催され、参加させていただきました!

お話しをしていただいたのは、ブータンから来られているアンジュさん、サンゲイさんです!

日本アルプス国際学院の宮澤理事長による、ブータンの紹介に始まり・・・

アンジュさん、サンゲイさんによる、ブータンの食や文化についてのお話しでした。

お二人とも、日本語が上手でとても楽しそうにブータンのことを紹介していただきました!

そして、お二人に作っていただいた、ブータン料理のお弁当。

ブータンはスパイスが効いた料理が特徴的なのですが、しっかりと再現されていました!

実は私(ブログ執筆の植物園の坪井)は、2016年にブータンを訪れたことがあります。

国立科学博物館の植物調査に同行させていただいたのです。

山岳調査の際には、現地のガイドさんが料理を毎回作っていただいたのですが、その料理を思い出しました。

ただし、今回のお弁当や、私も食べていた調査時の料理は、スパイシーさはあるものの、日本人向けの辛さではあったのです。

現地の人の味付けを食べたら、相当・・・辛いのですが・・・!!

お二人に「ブータンも山の国ですが、同じく山の県である長野県はいかがですか?」とお訊ねしたところ、やはり親近感があるとのことでした!

こんな感じで、各国から来られている留学生方の国のことを、直接紹介いただくのは大きな学びになりますね!

大変良い機会をありがとうございました!!

ところで、白馬五竜高山植物園はヒマラヤの青いケシが多く咲くのですが、
ブータンの国花は、青いケシなのです!

だからこそ、今回のセミナーには参加したかったのですし、私も現地調査でブータンを訪れたことがあったのでした。

2016年に訪れた、首都ティンプーの街並みです。活気がありますね!

街があるところでも、山が迫っています。長野県と通じるところがありますね。

山岳調査の移動中には、山間部の農村の風景も見ることが出来ました。

ブータンでの山岳調査の移動中。現地ガイドと馬でパーティーを組み、標高4500m以上の山奥を目指しました。

このように、自生するヒマラヤの青いケシを見ることが出来たのです!

こちらは、セイタカダイオウ(Rheum nobile)との記念写真。

背景にはシャクナゲが育っています。日本の山ではハイマツが育つところが、シャクナゲでした。

ブータンの山岳調査は、とても刺激的でした。

また道中には、ブータンの文化的なものも多く見ることが出来ました。

遠くの国から、日本に学びに来られている方がいると思うと、感慨深いですね。

自国を知り、他国を知り、植物園を管理する立場としても、個人としても、良い経験を積んで活動に活かしていきたいと思っています!

2020年6月2日、開園前の植物園【開園は6月13日】

2020/06/02

新型コロナウィルスの影響で、様々な施設が休館などをしていましたが、
6月になり、順次オープンする施設が増えてきたように感じます。

2020年度の白馬五竜高山植物園は6月13日に開園を予定しています。

本日は、準備の合間に撮った植物園の現状をお伝えいたします。
(写真は全て2020年6月2日撮影)

今回写真を載せた花たちは、6月13日の開園直後には、まだ見られる場所があるかと思います。

スキー場の営業の後に、あちこちに雪山を作って植物の開花をずらしているのですが、まだ雪が残っている場所があります。

青いケシが咲くロックガーデン、これだけの雪が残ってくれましたね。
雪解けに応じて、開花ずれるので、それなりに長い期間で花を楽しむことが出来るのです。

ヒマラヤサクラソウ(プリムラ・ロゼア)、地面をキレイに彩ってくれています。

ブナ林の入り口では、シラネアオイがどんどん咲いてきています。

山に行かないと見られない植物の代表格。鮮やかな姿です。

白花も稀に見られます。

キヌガサソウ。

先週は地面から出ていなかったのに、一週間で一気に伸びて咲きました。

サンカヨウ。

タネから育てて増やしたものが、あちこちで咲くようになりました。
純白の色をした花が素敵ですね。

ハクサンイチゲ。

ロックガーデンの山頂付近で見頃を迎えだしました。

チョウノスケソウ。

チングルマにも似ていますが、花の色がちょっと濃い気がします。
葉っぱも特徴的ですね。

コマクサは、もうすぐ咲きだすでしょう。
つぼみの時期が、名前の由来である「馬」の形に特に似ている気がします。

さり気なく人気のウルップソウ。
まだつぼみですね。これから咲いてきます。

昨年増やしたクロユリ。

これももうすぐ開花しそうです。

園内を点検しながら、草取りもします。

タンポポのタネが高山植物エリアに入ると、草取りが大変なので、今のうちの取ってしまいます。

歩道を歩きやすくする意味もありますね。

一面のツクシ。植物としての名前はスギナです。

山菜としても有名なツクシですが、高山植物を覆い隠してしまうほどに伸びるので、草取りの対象です。

増え「スギナ」いように、
採り「ツクシ」ておかなければならないのですが・・・

 

天気が良い日には、向こう側に北アルプスが見えます。
今日は、行動しやすい曇り空でした。

植物園の開園は6月13日からです。

新型コロナウィルスへの対応も、我々も出来る限り努めていますが、充分にご注意してお出かけ下さいませ。

五竜かたくり苑【4月29日】6~7分咲きくらい

2020/04/29

今回の記事の写真は、全て2020年4月29日に撮影したものです。

カタクリの花、だいぶ見ごろを迎えてきました。

今日は青空。花がこれからもっと開いてきてくれそうです。

花をアップで見ると、綺麗な花ですね。

葉っぱには模様が入るのが普通ですが、たまに模様が薄い葉もあったりします。

そういう変化を見るのも楽しいですね。

白い花はキクザキイチゲ。カタクリ以外の花も咲いています。

カタクリの咲き始めより、ワンテンポ遅れて咲くニリンソウ。こちらも花が増えてきました。

誰か(野生動物)がつぼみを食べてしまっています・・・

この辺には、カモシカが良く出るので、カモシカでしょうか・・・

今年は、小雪、暖冬からの雪不足、新型コロナウィルス、春先の雪と低温と、花を見るには条件が読めませんが、カタクリの見ごろは「例年通り」4月末~5月上旬のようですね。

 

 

五竜かたくり苑、咲き始めました〔2020年4月17日〕

2020/04/17

白馬にも春がやってきました。

カタクリの花が咲きだしていますね。

本ブログの写真は、全て2020年4月17日に撮影したものです。

咲き始めたカタクリの花。まだつぼみのものも多い時期です。

 

この斜面が満開のカタクリで一面の紫色になるのは・・・4月の終わりごろですね。

今年は小雪、暖冬の冬でしたが、3月に雪が降ったり、寒い日が続いたため、カタクリの見ごろは例年なみに落ち着くかと思います。

斜面の開花が早いところの写真。

全体では1割未満ですが、着実に春が進んでいます。

カタクリより一歩早く咲く、キクザキイチゲ。

こちらももうすぐ見頃を迎えそうです。

五竜かたくり苑の斜面の奥に、カモシカが現れました。

写真中央やや左。この近くの森に住んでいるようです。

今年は、新型コロナウィルスの影響もあり、スキー場の営業が終了し、エスカルプラザも閉館しています。

五竜かたくり苑へ行かれる方は、立てているのぼり旗に沿って、歩いてみて下さい。

五竜かたくり苑の最新情報は、白馬五竜高山植物園ホームページのトップページにも掲載してあります。

そちらもご覧くださいませ。

https://www.hakubaescal.com/shokubutsuen/

 

 

2019年10月27日 高山植物園の営業が終了しました!

2019/10/27

2019年10月27日をもって、今シーズンの白馬五竜高山植物園の営業が終了しました!

今日の植物園は一面のガス。山が見えません・・・

地蔵の沼。紅葉も落ちてしまったのですが、これはこれで秋の味わいがあるところです。

若いお二人が、ミラーレス一眼を片手に景色を撮られていましたね!

今日は雨がちな天気で、人もまばらでした。

左下の花壇、今までは青いケシを植えたりしていましたが、来年より絶滅危惧種展示エリアにする予定です!

日々、白馬五竜高山植物園の植栽展示も進歩していくのですね!

(この場所の青いケシは、植物園広場の場所に密度濃く移植しました)

今年も多くの方に来ていただき、色んなことがあった年でした!

また来シーズンもお待ちしております!よろしくお願いいたします!

紅葉見ごろ!!【2019年10月16日】

2019/10/16

写真は全て2019年10月16日に撮影したものです。

植物園の紅葉が見ごろになりました!!

良い色に色づいています!!

ゴンドラから眺める紅葉は、まだこれからが本番です!

まだまだ紅葉に間に合いますね!

アルプス平自然遊歩道あたりまでトレッキングをすると、五竜岳がより近くに見えます!

地蔵の頭へ行く道から植物園と白馬村を見下ろすところ。

山が色づいています!

(アルプス展望リフトは10月14日をもって営業を終了しました)

ゴンドラ山頂駅の屋上のアルプス大展望台からも北アルプスが良く見えます!

この時期は、ここの展望台に来るだけでも価値があるのです!

この日の朝の山麓の様子。

一面のガスですが・・・ ↓

実は雲海の中だったのです!

こういう雲海は早朝だけに見られます。

ゴンドラで上がってすぐの北アルプス。

ちょっと雲多めでしたが、日が昇ってくると最初の写真のように雲が取れていきますね。

紅葉の季節、色んな場所が楽しめます!

秋晴れの空の散策に、白馬五竜までどうぞ!!

2019年10月27日(日)まで営業しています!

白馬の良いところ〔日本植物園協会の視察でお伝えしました!〕

2019/10/04

2019年10月2、3日と(公社)日本植物園協会の皆様が白馬の視察・会議に来られました!

今回は、私立園の植物園の皆様。民間企業の植物園なのです。

〔参加植物園・企業〕
六甲高山植物園(兵庫県)、東南植物楽園(沖縄県)、伊豆シャボテン動物公園(静岡)、名古屋港ワイルドフラワーガーデン・ブルーボネット(愛知県)、白馬五竜高山植物園(長野県)、西武造園株式会社(本社・東京都、各地の植物園を管理)

 

まずは、白馬五竜高山植物園の視察。

紅葉の始まりを迎えたアルプス平自然遊歩道も歩いていただきました。

これから、更に紅葉が色づいてきます!(2018年10月6日撮影)

こんな景色が見られる「植物園」も珍しいはずです!(2018年10月6日撮影)

「植物園」というよりも、山岳なのですが・・・、

雄大な北アルプスを借景にした高山植物園なのです。

高山植物園ならではの植物の育て方や、お客様への見せ方などもご案内いたしました。

ビジターセンターは手作りです。

学びとしての施設、違う季節の見どころの紹介、雨の日のガイド場所などとして活用しています。

民間企業として、お金をかけずに、どのように必要なものを作っていくか。

お金をかけるところはかけるべきでしょうが、手作りすることで自分たちの伝えたいものを確実に反映したり、更新作業なども確実に出来るメリットがあるのです。

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この後の会議では、各植物園の近況報告であったり、課題などを話すのですが、

特に話題に上がったのも、訪日外国人が多くなっている対応をどうしているか・・・

植物園というのは、研究機関として発祥したものが起源であり、その色を濃く継いでいる植物園も多くあります。

一方で、今回来られた皆様は民間企業としての植物園であり、お客様にいかに楽しんでいただくか・・・それを主とする組織がほとんどです。

各植物園のパンフレットひとつ見ても、ねらいは何か、工夫は何か、そのようなことを直接会って話す良い機会なのです。

こういった機会を通して、我々、白馬五竜高山植物園もより進歩していきます・・・!

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先日9月24、25日にも日本植物園協会の講演会、絶滅危惧種の会議が白馬五竜で開催されましたが、
このような機会があるのも、植物園の横のつながりによるものですね。

当日のブログ記事

2019年9月24日講演会 高山植物を保全するには…!

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視察の2日目は、白馬でホットな場所を視察させていただきました!

まずは、HAKUBA MOUNTAIN HARBOR(白馬マウンテンハーバー)。

岩岳スキー場に昨年秋にオープンした、眺めの良いテラスです!

この狭い入り口から入るとどんな景色が広がっているのか・・・ ↓

写真はHAKUBA MOUNTAIN HARBORのホームページより。
https://iwatake-mountain-resort.com/hmh

最高の眺めを気軽に見られる場所なのです!

今回ご案内いただいたのは、白馬観光開発株式会社の山崎健司さん。

お客様にゆっくりとした時間を味わっていただき、滞在時間を長く楽しんでいただくには、
色々な工夫があるのです!

その取り組みを、熱心にご案内いただきました!

白馬マウンテンハーバー・・・多くの方が集まり、また戻って来られる「港」なのです!

テラスから少し歩いたところにある、トレッキングが楽しめる「ねずこの森」。

その入り口には、ブナの森が広がっています!

長い間、厳しい環境に耐えてきたネズコの大木。

自然の楽しみ方を山崎さんにご案内していただきました!

新しくオープンしたドッグラン施設もあるようで・・・

ブナの森を利用した森の中のドッグラン。

腐葉土フカフカの地面が、犬にも優しいようです!

周囲を覆う柵は、スキー場でも使用しているもの、なるほど!

話題は尽きず、参加した植物園の皆様も、山崎さんの話に聞き入っていました!

既にある観光資源をどのように磨き上げていくか・・・。

お客様に楽しんでいただきたい思いは、どんな場所であっても共通なのです!

次の視察場所は、Hakuba Mountain Beach(白馬マウンテンビーチ)。

写真はHakuba Mountain Beachのホームページより。
https://www.nsd-hakuba.jp/hakuba-mountain-beach/hmb/index.html

八方尾根スキー場に、今年夏にオープンした施設です!

ゴンドラの屋上に上がると、あら素敵。

白で統一された空間に、海辺のリゾートのような空間が広がっています!

無料で立ち入れるエリアには、お客様が思い思いの時間を過ごされています!

ご案内いただいたのは、白馬観光開発株式会社の横澤仁さん。

非現実的!とも言えるこの空間をどのように作り、お客様が利用されているか、ご案内いただきました!

右側に見えるゴンドラはサウナなのです!

山にビーチ!?

この素晴らしいロケーションを利用し、今まで無かった発想で運営されている施設。

夏のオープンから大好評のようです!

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八方尾根、というと、こんな景色を目指して皆様トレッキングを楽しまれます ↓

八方尾根のリフトを降りて一時間ちょっとトレッキングすると到達する景色、雄大です!

八方池に移る北アルプスの山並み。白馬の魅力が詰まっています!

秋の空の広がりを感じたり・・・

紅葉と山を合わせて見ることが出来ます!

山麓の白馬大橋から見る冠雪の白馬三山と紅葉。

「白馬らしい」秋の景色です。

この景色は、山麓の車道沿いから見られるのです!

ゴンドラに乗っても良し、山麓からも良し、白馬の楽しみ方は色々です。

雪が積もった冬の景色も勿論良いですし・・・

春にはサクラと雪山が同時に見られるのです!

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今回は、日本植物園協会の視察でしたが、「白馬の魅力」をご紹介させていただく機会でした。

「植物園」でも、「観光地」でも、その場所の魅力を伝えたい、楽しんでいただきたいという「思い」や「手段」は共通するところばかりです。

白馬の良いところをどう伝えるか・・・、そういった魅力をお伝え出来る方々や施設を周ることで今回の視察の目的は達成できたところですし、ご案内する立場としても改めて魅力に気が付くところが多いのです。

・・・

白馬五竜高山植物園は良いところ(・・・となるように努めています)。

白馬の岩岳も八方も良いところ。

白馬全体も良いところ。

まずはお訪ね下さいませ!

色んな魅力に出会えるはずです!

 

2019年10月3日、紅葉見ごろ始まりました!

2019/10/03

白馬もすっかり秋が深まり紅葉の季節になってきました!

2019年10月2日の植物園。北アルプスがよく見えました!
この場所の紅葉は、もう少しで見ごろですが・・・

 

アルプス平自然遊歩道まで行くと、紅葉がだいぶ進んできました!

例年より、ちょっと遅いかもしれません。これから見ごろです!

樹木によって紅葉の進み方は違うもので、サラサドウダンの真っ赤な紅葉が既に見られました!

湿原を見下ろす場所。すっかり色づいてきました。

これからもっと深まります!

こうして見ると、紅葉する木だけでなく、常緑の針葉樹やササなどがあるため、赤、黄、緑と色が混ざり、それがキレイに見えるのです!

10月3日現在、紅葉見ごろ始め。これからオススメの季節です!

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以下の写真は、参考に昨年2018年の写真です。

↑ 2018年10月6日

↑ 2018年10月6日

↑ 2018年10月6日

↑ 2018年10月6日

↑ 2018年10月6日

↑ 2018年10月6日

↑ 2018年10月22日

↑ 2018年10月22日

紅葉の期間はゴンドラの高低差があるため、一か月近く続きます。

紅葉散策にぜひお越しくださいませ!

2019年9月24日講演会 高山植物を保全するには…!

2019/09/26

2019年9月24日、白馬五竜高山植物園にて、
講演会『高山植物を、守り、育てる、最前線』が開催されました!

主催は、(公社)日本植物園協会です。

今回の運営、告知、ポスター作成など、坪井(ブログ執筆)が担当させていただきました。

「植物の保全」をテーマに、講演者自身がどのようなことに取り組んでいるか、今後どのようなことが必要か、それをお伝えする機会です。

当日は、植物園関係者だけでなく、ご招待させていただいた官公庁の方々(環境省、中信森林管理署、長野県自然保護課、白馬村)も来られ、ご案内させていただいた白馬山案内人組合の方々や、自然保護レンジャーや宿泊業の方々など多くの方が来られました。

参加は約80名。盛況でした!
白馬村だけでなく、長野市、安曇野市、富士見町、塩尻市、信濃町、伊勢原市といった、遠方からも来ていただけました。

司会をしながら、「白馬岳に登ったことがある方」と手を挙げていただいたところ、
7割ほどの方が手を挙げられました!

やはり、高山植物の保全について非常に興味を持っていただける方々が来られたようですね。

 

最初は、国立科学博物館 筑波実験植物園の遊川知久氏。

種の保全に多く取り組まれ、植物園協会としても多様性保全委員をされています。

高山植物に限らず、日本植物園協会がどのように絶滅危惧植物の保全に取り組んでいるか、
具体的な事例はどのようなものか、密度の濃い説明をしていただきました!

 

長野県環境保全研究所の尾関雅章氏。

自然豊かな長野県において環境全般の課題については、長野県環境保全研究所が研究し、解決に向けて取り組まれています。

その中でも植物について研究をされているのが尾関氏になります。

長野県にはどのような絶滅危惧種があり、その性質や、取り組みについて説明いただきまいた。

最近はシカが増え、貴重な植物を食べてしまう事例も多く起こっています。

植物を守るには、シカの課題を解決せねばならないようです・・・。

30年以上、白馬岳の植生復元に取り組まれてきた、土田勝義信州大学名誉教授。

自然保護の概念が希薄だった時代に、何が起き、どのような活動を続けてきたのか・・・

白馬村、「回復作戦へ」。1981年の新聞記事です。

登山道の在り方が、昔は違い道沿いの植物が相当荒れたようです。

今では当たり前のことが当たり前でなかった時代のことですね。

 

私(坪井)は、信州大学時代、土田先生のもとで高山植物を学んでいたこともあり、
これらの保全事業に学生時代から参加させていただきました。

生まれる数年前から始まった事業であり、2006年には最後のまとめをさせていただきました

長きに渡る積み重ねでした。

白馬岳での植生復元の経験が、現在でも各地で活かされているところです。

森和男氏による、高山植物栽培の歴史。

森和男氏は、東アジア野生植物研究会を主宰され各地の植物や歴史を明らかにしつつ、
数多くの植物園指導をされています。

例えば・・・白馬岳の植物についての最初の報告についての説明など、

あらゆる古書から導かれた歴史を紐解いていきます。

森和男氏のすごいところは、古書の内容を把握し、複数の史料から結び付けた事実をご自身の言葉で完璧に語られること。

そして、そこに何が必要か、今への意見を積極的に述べられます。

昔から野草の栽培は親しまれてきているものの、最近では真に知識と経験を持った栽培家が高齢化で絶滅していくそうです・・・。

多くの県には、〇〇県立植物園のような植物園があり、公園や温室などを楽しみつつ、植物の収集や栽培、保全のための研究や実践をされています。

一方で、自然豊かな長野県にはそういった役割を担う植物園がありません。

植物園が出来なかったのも、植物を見たいのならばあちこちの大自然に行けば良かったから、でしょうか。

しかし、現在では「保全」の点において植物園の必要性も感じられるところです。。

白馬五竜高山植物園は、民間のスキー場会社ではありますが、「高山植物」に特化した日本植物園協会加盟の植物園として、高山植物の保全や啓発活動を進めているところです。

それが企業価値を高めることではありますし、白馬のブランド力向上にも繋がっていくはずです。

最後の講演は私(坪井)でした。

内容は、日本植物園協会としての保全の取り組みから、白馬五竜高山植物園で実践した調査、種子採取、栽培のこと。

講演スライドの一部を、このブログ記事の最後に貼り付けておきます・・・!

ところで、講演会の前の時間では、絶滅危惧種の保全についての会議でした。

日本植物園協会において絶滅危惧種の保全に取り組む植物園と、調査でお世話になった官公庁の方々に来ていただきました。

今後どのように保全を進めていくか、有意義な会議となりました。

講演会の後は、植物園関係者と官公庁の方々と、白馬五竜高山植物園の見学を行いました。

北アルプスは見えない天気でしたが、どのように植物を展示しているか、見ていただきました!

北アルプスの高山帯、植物の群落を再現した『白馬連峰高山植物生態園』。

登山道の入り口のブナ林から、ハイマツ帯やお花畑を再現したエリア、山頂のようになった部分もあったり、
高山植物を、学び、親しむ場所として、終わりなき完成を目指して取り組んでいます!

こちらは造成中ですが・・・来年度より植物園の絶滅危惧種を集めたコーナーにする予定です!

植物園としての強みは、植栽やレイアウトを造り変えていけること、植物を理解できる看板を設置できることです。

国立公園の大自然は私も大好きですが、コンパクトに、学べる場所に出来るのは植物園ならではです!

次の日9月25日は、植物園の皆様と栂池自然園の視察に伺いました!

まずはゴンドラに乗る前に、白馬観光開発の山岸信也さんに栂池を楽しんでいただく企業としての取り組みをご説明いただきました!

栂池自然園の手前にある栂池ビジターセンターでは、猪股崇志さんに、ビジターセンターのご紹介をいただきました!

大型パネルやボルダリングなども設置された、最新のビジターセンターです!

雨の日でも楽しめる、学べる施設です。

植物園では展示も大切なところです。栂池ビジターセンターの取り組みについて、皆様、大変興味深々でした!

広大な湿原を散策できる栂池自然園。

全国の植物園からは初めて訪れた方も多く、長野県の大自然を知っていただきました!

やっぱり植物大好きな皆様なので、花が終わった植物でも興味深々でした。

視点がフツーでは無いところが、私自身も近くのフィールドを見直すきっかけになりました。

栂池自然園の紅葉は、これからどんどん深まります。

多くの方々に見ていただきたい美しい場所です!

参加いただいた皆様、ありがとうございました!

【参加植物園】

東京大学小石川植物園・日光植物園、名古屋市東山植物園、国立科学博物館筑波実験植物園、茨城県植物園、咲くやこの花館、富山県中央植物園、山形市野草園、豊橋総合動植物公園、六甲高山植物園、白馬五竜高山植物園、武田薬品工業㈱京都薬用植物園

9月26日の白馬五竜高山植物園。しっかり北アルプスが見えました!!

これから紅葉が始まり、秋が深まります。

この立地を活かした高山植物の保全の取り組みを、今後も進めていきます!

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以下、坪井が講演会で発表したスライドの一部です。

参考にどうぞ!

  

 

 

9月、秋らしい花が増えました!

2019/09/06

9月になりました!

夏らしさも終わり、植物たちも秋の花へと移り変わっていきます!

マツムシソウ。まとまって咲くところはキレイです!

チョウにも人気の花なのです!

同じく秋らしい有名な花、リンドウもキレイですね!

タムラソウ。赤い花があちこちに咲いているのです。

この花も、結構チョウに人気で、キアゲハなどが寄ってきたりもします。

歩道にせり出すように、アルプス平自然遊歩道のあちこちで見られるのです!

昆虫ネタですが、アカエゾゼミを捕まえました。

なかなか採る機会のセミです。こんなのも居るのです。

ハクサンシャジン。釣鐘型の花がキレイです!

全体はこんな感じ。段になって花が次々に咲いてくるのですね。

稀に白花もあるのです!探してみて下さい!

イワショウブの花。アップで撮るとこんな感じ。

イワショウブの花、こんな感じであちこちに咲いています。

何となく秋らしさを感じさせてくれます!

オヤマボクチのつぼみ。このまま真ん中から開いていって花が咲くのです!

タテヤマウツボグサも花びらを地面に散らして、鮮やかでした。

この季節は、ウメバチソウがそこら中に咲くのです!

白い花が地面のあちこちに咲いています!

さらに近寄ると、こんな感じ。

つぼみもなかなかカワイイのです!

もうすぐ花が開きますね!

 気の早い木は紅葉が始まっていますが、本格的な紅葉は9月の終わりごろからです!

秋は植え替えの季節。この場所にあった青いケシは・・・

この場所に植え替えています。今までよりも密度を濃く、よりキレイに咲くように・・・

別の場所では、大規模な植え替え作戦を行っています!

毎年進化していく植物園。「変わったね」と気が付いていただけるお客様がいらっしゃると嬉しいものです!

ちなみに、コマクサの花も少しですが咲いていたりします!

紅葉前の秋の花の姿。色々な楽しみ方があります!