スキー場をはじめとする運営施設全体の電力を100%再生可能エネルギーへ転換2023.12.04
冬にはスキー場「エイブル白馬五竜」を、冬以外はスキー場資源を活かした「白馬五竜高山植物園」を運営する株式会社五竜は、2023年12月より、運営する施設全体の電力を100%再生可能エネルギー*へと切り替えました。年間を通してゴンドラやリフト、レストランやショップ等の施設、降雪機に至るまですべての使用電力を切り替えたことは、ゼロカーボンリゾートの実現に向けた大きな一歩となります。
また、本日付けで発表された一般社団法人 Protect Our Winters が提唱する「サステナブル・リゾート・アライアンス」にも加盟し、「持続可能なリゾート運営」を企業のコアバリューのひとつに掲げることを宣言いたします。
*非化石証書の使用により環境価値を付加する電力の使用により、実質的に再生可能エネルギー100%を実現しています
株式会社五竜が運営するすべての施設は、2023年12月より、中部電力の「Greenでんき」、みんな電力、エネサーブ株式会社の「RE100メニュー」の3種類の電力で運営します。ゴンドラやリフトの運行、飲食店・お土産屋・レンタル店・更衣室等が入るベースセンター「エスカルプラザ」の建物全体、事務所や従業員寮、降雪機等の重機を動かすエネルギーに至るまで、リゾート運営にかかるすべての機能を再生可能エネルギーでまかないます。当社では2020年より、冬季のナイター営業(五竜ナイター)を含む「とおみゲレンデ」を再生可能エネルギー100%で営業してまいりましたが、このたびそれを施設全体、オールシーズンへと拡大いたします。
POW JAPANが本日付けで発表する「サステナブル・リゾート・アライアンス」への加盟も決定し、スノーリゾートの脱炭素化に向けた取り組みの全国への拡大をリードしてまいります。
今回の発表の背景
地球温暖化による雪不足の影響をダイレクトに受けるスキー場をはじめとするスノー産業界では、環境問題への取り組みが年々他人事ではなくなり、多くのエネルギーを使用するリゾート運営事業者にも具体的な行動が求められています。
白馬五竜がある長野県白馬村は、2019年12月に「気候非常事態宣言」を、2020年2月には村全体としての再生可能エネルギー自給率100%(実質CO2排出量ゼロ)を2050年までに実現する「ゼロカーボンシティ宣言」を発令しています。白馬エリア全体の観光を司る広域型DMO HAKUBA VALLEY TOURISMもSDGs宣言の中で、索道事業者の中期目標として「2025年までエリア内全スキー場が電力の再生可能エネルギーへの切替を進めている」と定めるなど、地域全体としての環境へのコミットメントも高まりつつありました。
こうした動きを受けて白馬五竜は、冬を守る環境保護団体Project Our Winters Japan(POW JAPAN)が日本で発足した2019年にいち早くパートナーシップを結び、翌年2020年には世界初となる再生可能エネルギー100%でのナイターゲレンデ営業に成功し、昨シーズンまで継続してきました。ゲレンデのクリーンアップ活動を行ったり、消費電力を抑えられるLED照明への切替を進めたりと、自分たちにできる活動を進めてまいりました。
白馬五竜の2022年の年間電力使用量は2,850,229kwhで、これは一般的な4人家族世帯の年間電力使用量の約7,000倍以上にも相当します(*1)。これだけの電力を再生可能エネルギーに切り替えることは大きなインパクトをもたらせると理解しながらも、すべての電力の切替は、新電力会社の再編動向やコスト面などからすぐには実現できないと考えていました。しかしこのたび観光客の回復も見込めコストの目処が立ったこと、再生可能エネルギーの供給自体が安定してきたこと、リフトチケット料金値上げの還元先としても適切であると判断したことなどの背景から、2023-24冬シーズンからの全面切り替えに踏み切りました。
(*1)一般的な4人家族世帯の年間電力使用量を平均値データから400kwhと仮定したときの試算
2023年10月に、白馬村がUNWTO国連世界観光機関が認定する、持続可能な優れた観光地「ベスト・ツーリズム・ビレッジ」に選ばれたことも決断の後押しとなりました。SDGsに沿った観光への取り組みが評価されたことで、白馬村がこの先向かっていく方向がはっきりと感じられ、当社としてもその白馬村をリードするスノーリゾートとして同じ未来に向かって行動したいと考えております。
白馬五竜のサステナブルリゾート実現に向けた歩み
白馬五竜では、世の中のSDGs機運が高まる以前より、サステナブルリゾートの実現に向けたさまざまな取り組みを行ってまいりました。もともとあった自然環境に手を加えて作ってきたスキー場である以上、よりよい状態にして次の世代に引き継いでいかねばならないと、企業としての環境方針に基づいて自然な流れで行ってきた取り組みです。
2000年、スキー場の営業終了後に高山植物を植えはじめ、植物園開業に向けた準備を始めました。2006年には発電時に生まれる熱電力エネルギーを融雪や暖房に使う「エネサーブ」発電機を導入しました。小さな活動の積み重ねが実を結び、2008年には環境マネジメントシステムの国際認証規格であるISO14001を取得しています。
2010年に「白馬五竜高山植物園」として名称を変更して以来、日本植物園協会や環境省などと連携しての絶滅危惧種保全活動や雷鳥保全を目的とした食草栽培などを行うなど、地球環境保護の活動にも積極的に取り組んでまいりました。身体の不自由な人でも植物園を楽しめる「トレイルライダー」の導入、地元の中学生と一緒に行う「花豆」の地産地消のプロジェクト、ひとり親家庭の夏休みイベント参加を無料にする取り組み、「国際女性デー」にあわせて女性ゲストを割引にするキャンペーンなど、環境保護以外にも多面的にSDGsに取り組んできています。
先日発表した採用特設サイトの開設も、広い意味ではサステナブルリゾートを実現するための施策と捉えています。白馬五竜は「持続可能なリゾート運営」へのコミットをコアバリューのひとつに掲げ、環境問題のみならず人権やジェンダーといった課題にも全社員をあげて取り組んでまいります。
▼白馬五竜の環境とSDGsへの取り組みの歩み
https://prezi.com/i/bz7cpwabkrgs/sdgs/
▼プレスリリースについては、以下のリンクをご覧ください。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000015.000079579.html